定番-02　四万十の生命のゆりかご、河口

海水と淡水が混ざるこの場所で、たくさんの生命が育まれる。

196キロの長い旅路を終えると土佐湾に注ぐ四万十川。この河口にできる海水と淡水の入り混じった「汽水域」は生き物と人にとって、とても大切な場所です。栄養分が豊富で小さな生き物たちの隠れ場が多い汽水域は、たくさんの生き物が生まれ育つ「生命のゆりかご」の役割を担っています。四万十の食文化を支える豊かな川の幸は、この汽水域が支えているともいえるのです。

　また、かつては舟運が流域の主要な運搬手段であったため、河口には物資が集積し、港町が発展しました。河口エリアは、流域と他地域の文化が行き交う入り口であり出口でもあったのです。

生命のゆりかご　汽水域

四万十川には河口から四万十市中村の赤鉄橋辺りまで、約10㎞にわたって汽水域が広がっています。汽水域は、海水と淡水（川の水）が混ざっている場所で、ここでは幻の巨大魚アカメをはじめ、数多くの生き物が暮らしています。四万十川は生息している魚の種類が日本トップクラスで多いことでも知られていますが、そのほとんどが汽水域で過ごしているのです。
汽水域では多くの生き物が赤ちゃんの時期を過ごします。多くの生き物にとって汽水域は栄養満点のスープのようなもの。またここでは、小さな生き物の隠れ場所となるコアマモといった海藻もよく育ちます。四万十の川の幸を代表するアユもテナガエビも、アカメも子どもの頃をここで過ごして大きくなっていくのです。
そして、汽水域には生き物が暮らしていくうえでもう一つ重要な場所があります。それは、干潟です。潮の満ち引きで現れる干潟には、トビハゼの他、シオマネキやチゴガニなどの生き物がたくさん暮らしています。また、干潟は自然の浄化槽とも言われ、干潟に暮らすアサリや多くの微生物が有機物を分解し、川の水をきれいに浄化してくれています。

汽水域の特産　アオサノリとアオノリ

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