流れに任せて右へ左へ。このくねくねが暮らしの場を生んだ。
大きく蛇行を繰り返す四万十川。蛇行はその内側に土砂を堆積させて、「ナロ」とか「ダバ」と呼ばれる小さな平地を作ります。四万十川流域では、この小さな平地が農地や集落として利用されています。このため、川の曲がりに合わせて両岸に集落が生まれているのです。
蛇行が大きくなるのは中流域。四万十川がとても大きく蛇行するため、川下りをすると後ろに見えていた鉄塔がまた前に見えてくる不思議な体験ができたりします。川が作り出す地形は特徴的な暮らしの風景を生むので、これに気づくと四万十の旅がますます楽しくなります。
~蛇行が削られてできた集落~
激しく蛇行しながら流れる四万十川。特に中流域では上の写真のようにグッと馬蹄型に曲がる四万十川が見られます。川の流れは長い年月を経てどんどん山を削り、最終的には完全に蛇行が削られて削られて削られて、貫通することでもともと川が流れていた場所に新しい土地が出来るのです。これを環流丘陵と言いますが、四万十川にはそうやってできた土地を活用した集落がいくつか見られます。ダバダ火振りで有名な大正の町(田野々地区)もその一つです。
上の写真の場所ももしかしたら、何百年後にはどんどんどんどん山が削られて、今川が流れている場所が平地になりそこに新しい集落が誕生するかもしれませんね。
~蛇行をショートカットするトンネル~
県道381号線を四万十川沿いに走っているとトンネルが出てきます。何気なしに通るそのトンネルは、実は川の蛇行をショートカットしているのです。上の絵で言うと、貫通したところをトンネルが通っている感じ。昔は四万十川の蛇行に合わせて道が作られていましたが、道幅も狭く何より時間がかかるので、山をぶち抜いてトンネルが作られました。よく見るとトンネルの入り口脇には蛇行する川に沿って道が通り、その先には蛇行部の内側にできた集落があったりします。もしゆっくり四万十川を旅行される際は、トンネル脇の道路に入って川の蛇行に沿ってドライブを楽しんでみてください。