明治維新以降、日本全国で急速な近代化による公害が発生します(足尾銅山鉱物事件が公害の原点として有名)。高度成長期にはイタイイタイ病、水俣病などが社会問題になり始めました。1958年に、江戸川の本州製紙の工場排水による漁業被害をめぐって漁民約700名が工場に乱入し、工場側と乱闘するという事件を契機に水質二法が制定されました。しかし、規制内容が不十分なことから廃止され、今の「水質汚濁防止法」ができました。工場の排水などが規制され処罰の対象になったのです。憲法第25条に基づく環境基本法も制定され、「環境基準」や「排出基準」が定められました。

明治維新と近代化。公害の原点

  • 1868年:足尾銅山公害事件
    • 近代化に伴い工業化、渡良瀬川に酸性排水を垂れ流し
      • 漁業被害:鮎の大量死、サケの漁獲減少
      • 農業被害:農地や農作物に鉱毒被害→鉱毒反対運動

高度経済成長期

  • イタイイタイ病
  • 水俣病
  • 1970年:水質汚濁防止法
  • 1993年:環境基本法

四万十川には「清流基準」がある

四万十川では、上記環境基準に加えて、高知県が住民にわかりやすく馴染みやすい基準として「清流基準」を追加で設けています。清流基準の項目には、清流度、全窒素量、全リン量、水生生物があり、この項目が基準に到達しているかで「川がきれいか?」が分かるようになっています。

排水の法律と計画

排水については水質汚濁法で「排出基準」が決められています。また、下水道法、浄化槽法などで細かい基準もあります。高知県には、国の計画に従い1997年から2017年まで四万十川流域別下水道整備総合計画がありましたが、当初より環境基準が守られていることから計画の必要はないと更新されず、2018年からは高知県全県域生活排水処理構想を基に各市町が事業計画実施を行っています。

参考文献等

高知県.”四万十川条例第23条に基づく「清流基準」について”.高知県庁ホームページ.https://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/030701/2017100600014.html(2023.11.28)

環境省.”日本の廃棄物処理の歴史と現状”.環境省ホームページ.https://www.env.go.jp/recycle/circul/venous_industry/ja/history.pdf(2023.11.28)

環境省.”水質汚濁対策”.環境省ホームページ.https://www.env.go.jp/content/900397225.pdf(2023.11.28)

NHK.”足尾鉱毒事件”.NHK for School.https://www2.nhk.or.jp/school/watch/clip/?das_id=D0005403277_00000(2023.11.28)