38.ギンブナ
38.ギンブナ(群れ)

38.ギンブナ

コイ科

Carassius sp.

オスがいないギンブナの世界

基本情報

【全長】

30㎝

【生息地】

日本各地。池沼や溝川など様々な水域に生息し、泥底の環境を好む。

【体】

フナ体形。体高は尻ビレ辺りで急に細くなる。体色は褐色がかった銀白色。

ギンブナはフナの仲間の中で代表する種であるが、ほかの種とは非常に見分けづらい。

①ギンブナ、②キンブナ、③ニゴロブナ、④ゲンゴロウブナと4つの群があるが、オオキンブナとナガブナの分類は疑問視されている。フナの分類は分類学の中でも難しく、日々見解が変わっていくので注意が必要。

【生態】

一番の特徴はオスがおらず、メスのみで生息しているということだ。他のフナの仲間もオスが少ないが、ギンブナほど女社会のフナはいない。

春~夏の大雨後の増水後に田や湿地で産卵する。

通常は群れを成し生活し、厳冬期には岸際の深みで身をよせあってじっとしている。

【食性】

雑食

ギンブナといえばメス。

真の女社会。

ギンブナの生殖活動には同種のオスがほとんど関わっていない。他の魚種のオスでも全然かまわないというのだ。つまり、メスのクローンでいっぱいの世界が広がっている。少し恐ろしい世界かもしれない。

詳しく説明したい。

ギンブナは、単為生殖で知られている。

卵子に精子が侵入しても、核融合することなく疑似受精がきっかけで細胞分裂がスタートする。単為生殖であるが、精子の刺激は必要である。しかし、同種でない他の魚でも刺激として受ければ、発生が可能。というのも、ギンブナは3倍体であるため、染色体が多くオスと合体できないのだ。稀に、合体しているものもいるが非常に珍しい。常に遺伝子交雑が行われないためクローンばかりが生まれている。環境変異には弱いため、一気に絶滅する可能性もある。

≪参考資料≫

・川の生物図典 財団法人リバーフロント整備センター

・日本の淡水魚 山と渓谷社

・四万十川の魚図鑑 いかだ社