46.コイ
コイ科
Cyprinus carpio
【全長】
1m
【生息地】
日本全土。野生型(野ゴイ)は関東平野、琵琶湖・淀川水系、岡山平野、四万十川などが知られる。中から大河川の淀みなどで見られる。
【体】
体形の細い「野ゴイ」と呼ばれる体形の細い個体は錦鯉やドイツ鯉などとの交雑が進み、ほとんど見られなくなった。
ぱっと見るとフナと見分けがつかないが、口ひげで簡単に判別できる。口ひげがあるのが「コイ」である。また、フナよりも深みを好む。
【生態】
幼魚は群れで行動し、フナ類の群れに交じっていることが多い。
遊泳速度は時速6キロ程度。
寿命は長く20年ほどである。
増水時に水田に遡上して産卵する習性がある。日の出から正午で晴れて風のない日も産卵行動が多くなる。交尾はオスメス1尾ずつで行われる。メスが水面の水草に近づき尾びれで水をたたいて乗り越える。この時に産卵し、オスも続いて同じように水草を乗り越えて放精する。
【食性】
雑食。底生動物、付着藻類、分解物等を食べる。特に貝類を好み臼歯状の咽頭歯で貝を砕いて食べる。咽頭歯はコイの特徴で、あごに歯を持たないため喉の上下に歯を持っているのだ。タニシ等を砕けるため相当強力な歯である。
コイの摂食を見ると、砂をそのまま吸い込んで食べているように見える。砂と餌を同時に吸い込み口腔内で選別し、砂はエラから出して餌だけを食べるようにしている。
昔から食べられていた鯉
鯉は昔から海のない場所では、非常にポピュラーな食用魚であった。
四万十川でもよく食べられていた。鯉の生命力の強さから縁起物として祝いの席で食べられることもしばしば。
「鯉こく」:大根と一緒に味噌で炊いたもの
「鯉なま酢」:すみそと鯉を合わせたもの
「鯉の糸引き」:身を細く引き切りにして卵をまぶしたもの
などが食べられていた。
しかし、コイ毒というものがある場合があり、これにあたると下痢・痙攣・麻疹の症状が出て最悪の場合死に至る恐れがある。胆のうから見つかることが多いが、ほかの部位でも中毒症状の報告があるため注意したい!
四万十川にもある鯉漁!
あまり知られていないが、四万十川では昔から12~2月になると寒鯉漁というものが行われる地域もある。
四万十市の三里地区などに水深10m以上の深場ポイントに体長1mくらいの鯉がいると言われている。
冬になると動き鈍くなるので深場でじっとしているのだ。
その深場の周りを刺し網で囲って、船の上から「カナツキ」という銛のような道具で刺して引き上げる。また、鯉は腹のあたりの感覚が鈍いため、じっとしている鯉を抱きかかえる「抱きこみ漁」で捕獲し、囲っていた刺網をあげる。
豊漁の時は100尾以上獲れることもあり、近所の人に配る文化もあったという。
≪参考資料≫
・川の生物図典 財団法人リバーフロント整備センター
・日本の淡水魚 山と渓谷社
・四万十川の魚図鑑 いかだ社
・市場魚貝類図鑑
・四万十川の伝統漁 (一社)四万十市観光協会