72.ニホンウナギ
ウナギ科
Anguilla japonica
【全長】
1m
【生息地】
北海道以南。四万十川代表魚種の一つ。中流から下流域にかけて生息するが、近年河川環境の変化に伴い減少傾向にある。環境省レッドリスト絶滅危惧ⅠB類
【体】
頭部は三角形。体形は細長くぬめりが非常に強い。体の大半が暗褐色、腹部は白で成長に伴い黄味が増す。
背ビレと尻ビレは尾ビレに融合。
【生態】
産卵は海、川で育つのが最大の特徴の「降河回遊魚」である。オスは数年、メスは10年ほどで性成熟するが、産卵期が近づくと海へ下って熱帯の深海で産卵(フィリピン近海)。産卵して数時間で孵化。「レプトセファルス」という葉のような幼生になる。
全長5㎝程に成長した一般的に「シラス」と呼ばれる体色透明の幼魚が河川内に遡上始める。シラスは遡上時は潮の流れを利用する。
河川内の個体は岩や転石などの隙間に身を隠しながら小魚やエビ等を捕食し成長する。
ウナギの生態は長く謎だったが、産卵場所を1991年に発見し、2005年には東京大学が詳細を特定し話題となった。日本から2500キロ近く離れたマリアナ海嶺付近だと特定されているが、この長い道のりをどう移動しているのか等まだ謎が多い。
【味】
日本人の誰もが知る高級魚の一つ。
夏の土用の丑の日には夏バテに聞くということで大人気。
消化器官の粘膜を健康に保つビタミンB2、ビタミンD,E等バランスよく含まれる。肝に葉免疫力を高めるビタミンAが豊富。コレステロールが高いので注意。
血液には毒素があるため生食はできない。
【語源】
「ムナギ」が転じて「ウナギ」に。
棟木(むなぎ)に似ているとか、胸が黄色いためと言われている。
養殖と天然
99%が養殖であり天然物は希少だ。養殖も完全養殖ではなく、シラスを種苗として養殖池で育てる。
養殖は、150g~200gが食べごろでその大きさまで育てられる。「単年養殖」という半年育てられるものと「周年養殖」という1年~1年半育てられるものがある。
四万十川では、希少な天然鰻がコロバシやハコウエ、延縄といった漁法で今でも獲られ、地域の食文化として息づいている。12月には下流域でシラス漁が始まり、にぎわいを見せる。
日本の食文化として
夏の土用の丑の日など、長い日本の歴史の中で登場することも多い鰻。
日本の水産業・食文化上で重要な種であるが、乱獲や生活場所減少による資源枯渇が極めて強くなっている。
水産庁は鰻の養殖やシラスの採捕に関して様々な制限をして、資源保護を推進していますが、高額で取引されるため密漁や密売が後を絶たないのが現状です。
≪参考資料≫
・日本の淡水魚 山と渓谷社
・四万十川の魚図鑑 いかだ社
・魚の便利帳 高橋書店
・WWF「シリーズ:ウナギをめぐって」