四万十川流域の厳選100種

四万十川流域には季節ごとに美しい花が咲いています。
年間を通じて考えると、その数は数百種類を越えるのです。
そんなたくさんの花の中から、是非皆さんに見ていただきたい厳選100種類をご紹介します。
すべて、今年になってから咲いたものです。時期的にまだのものは、また改めてご紹介します。

No.41 ホソバノヤマハハコ

高山の岩石地に生え、群生して咲くと雪のように見えて、全体的にアルプスの名花、エーデルワイスによく似た雰囲気があります。シコクフウロソウと花期が重なることから、両者が美しいコントラストを成して、アルペン的な気分を高めてくれます。(2013年8月29日撮影、愛媛県久万高原町)

No.42 ハマゴウ

海浜砂地に生え、全体に芳香があります。クマツヅラ科の植物ですが、花は、シソ科のローズマリー(「海の雫」の意)によく似ます。ハマナスが東日本の海を代表する花とされるのに対して、西日本の海を代表する花とされています。特に、花後の実にはラベンダー同様、リラックス効果があり、昔は枕の中に詰めていたそうです。撮影場所は、有名なサーフ・ビーチ、年間を通して、多くのサーファーで賑わっています。(2013年8月22日撮影、高知県四万十市)

No.43 トラノオスズカケ

常緑樹の林縁に生え、茎は長さ30~50cm程度で、垂れ下がるようになります。高知県絶滅危惧種。8月~9月頃、紫色の円錐状花序をたくさん付けて、大きな個体ほど見事になります。今夏は高温乾燥が特にすさまじく、花つきや状態があまり良くありません。(2013年9月1日撮影、高知県四万十市)

No.44 オカトラノオ(ヌマトラノオ)

山地草原に生え、名は花の形を、「虎の尾」に見立てたもの。同じ仲間で池沼、水湿地に生えるヌマトラノオがあります。一つ一つの花を見ても綺麗ですが、遠目に花がなびく様がなんとも可愛げです。(2013年7月7日撮影、高知県梼原町)

No.45 イヌゴマ

No.46 オオマルバノテンニンソウ

標高1000m以上の渓流沿いに多く見られ、石灰岩地に多い傾向があります。名は、テンニンソウと比べて、葉が丸く大きい広卵形であることによります。テンニンソウの花が淡黄色で地味なのに対して、赤い花を咲かせることから、一度見た後、再度、振り返って見るほど美しいという意味で、別名、トサノミカエリソウとも呼ばれています。大陸と陸続きだった頃の遺存種(そはやき植物)の一種。(2013年9月14日撮影、愛媛県西予市)

No.47 カワミドリ

高知県では、四万十川源流の津野町船戸(四国カルスト)で唯一、自生が確認されています。ただし、四国カルストの愛媛県側、北斜面には多く見られます。冷涼で、やや多湿な場所を好み、花や葉には、ラベンダーの香りをまろやかにしたような芳香があります。花、姿、香りとも、自生在来種というより、西洋のハーブのような印象があります。(2013年9月14日撮影、愛媛県西予市)

No.48 メハジキ

この花も最近では出会うことが大変少なくなりました。越年性の一年草で、何気なく除草されてしまうことが多く、同じ場所になかなか定着出来ません。生育初期には卵心形の根生葉がありますが、花期には無くなります。生育中期には、茎葉は3つに深く裂け、裂片はさらに羽状に裂けることから、全体に大麻に似た雰囲気がありますが、茎が四角いことから区別できます。花期になると上部にヨモギに似た葉をつけますが、葉裏が白くならないので区別できます。古くから妊婦さんの薬としてよく知られており、益母草(やくもそう)の名もあります。(2013年9月26日撮影、高知県宿毛市)

No.49 イブキトラノオ

四国の高山でお花畑を形成する代表的な植物。シコクフウロソウ、シモツケソウ(四万十川流域には無い)とは、よく混生します。名は滋賀県の伊吹山に多いことによります。(2013年7月14日撮影、高知県梼原町)

No.50 キツリフネ

四万十川流域では、標高400m以上(津野町船戸)以北の渓流沿いに見られます。木陰で黄色い花が谷を吹き抜ける風に揺らぐ様には、いかにも涼感があります。流域には同じ仲間として本種のほか、ツリフネソウ、ハガクレツリフネの3種があって、うち、本種とハガクレはやや標高の高い山地に、ツリフネソウは里山に生えます。この中では、ツリフネソウが最も少なく、やはり高い山より里山の方が開発の対象になりやすいためと考えられます。(2013年7月27日撮影、高知県梼原町)

No.51 ハンゲショウ

暦でいう半夏生(はんげしょう)の頃、花が咲くことから、この名があります。花期の間、上部の葉が白くなる特徴があります。これは、花が大変地味なため、昆虫にとって、目立つようにするためです。花が終わると、また緑の葉に戻ります。学名は、Saururus chinensis(ソーララス・キネンシス)と言い、ソーララスは「トカゲの尾」の意で、花の形に由来します。水湿地の減少と共に自生地が少なくなっていますが、四万十市のトンボ自然公園などで、観察することができます。(2013年7月25日撮影、高知県四万十市)

No.52 カワラナデシコ

オミナエシ同様に、古来、「秋の七草」として親しまれてきた植物。「ヤマトナデシコ」とも呼ばれます。カワラではなく、山地草原に生え、四万十川の河原には外来種のムシトリナデシコが生えています。四万十川流域では、梼原町、津野町だけに分布します。(2013年8月18日撮影、高知県梼原町)

No.53 フシグロセンノウ

森林にも山地草原にも生えます。風雨に花が痛みやすく、前者の方が状態は良いようです。フシグロの名は、節が黒くなることによります。花は野生種らしからぬ色鮮やかなオレンジ色をしています。植物には例えば桜のように標高の低い(暖かい所)から咲き始めるものもありますが、本種は標高の高い(寒い)所から咲き始めます。(2013年7月27、28日撮影、高知県梼原町)

No.54 キツネノカミソリ(オオキツネノカミソリ)

ヒガンバナ科の植物で、花の時、葉が無く、葉の時に花が無い特徴があります。石灰岩地に多い傾向はあるものの、四万十市西土佐や四万十町窪川などでも見られます。新鮮な花は高原に咲くヒメユリのようで、はっとする美しさがあります。(2013年8月17日撮影、高知県四万十市)

No.55 ヒルガオ(コヒルガオ)

名は、園芸用に栽培されるアサガオが朝、開花するのに対して、朝~日中にかけて開花することによります。人里の土手に多く、花は普通、漏斗状ですが、個体によっては、写真のように浅く五裂して、桜に似たものもあります。コヒルガオと比べて花期が遅く、葉の基部は鉾形で、花の中心部だけが白くなります。(2013年8月15日撮影、高知県四万十市)

No.56 シコクフウロソウ

8月下旬、四万十川の標高1000mを超える高原では、見渡す限り一面にシコクフウロソウの花が咲いて、アルプスのような景観が広がります。花の中に、ツンツンと針金のように出ているのは、花を終えたイブキトラノオの茎です。花畑は6月から順に、イブキトラノオ→イブキトラノオ+シモツケソウ+シコクフウロソウ→シコクフウロソウと変化していきます。(2013年8月29日撮影、愛媛県久万高原町)

No.57 クララ

川沿いの土手や野原などに多く生えます。クララというアルプスの少女ハイジの登場人物とたまたま同じ名ですが、全く無関係です。洒落た響きの名前とは対照的に、大変地味な花を咲かせます。(2013年5月13日撮影、四万十市)

No.58 アワモリショウマ

No.59 ギンバイソウ

名は花が梅に似ることにより、草本類の中では葉先が分裂して二股になるという変わった形をしています。昔、大陸と陸続きだった頃と同一種または近縁種が現存する原始的な(そはやき)植物。本州の東海以西、紀伊半島、四国、九州の太平洋側だけに分布します。四万十川流域では、津野町芳生野以北に分布し、渓流沿いに多く見られます。オオマルバノテンニンソウとは、よく混生します。(2013年7月28日撮影、高知県梼原町)

No.60 クサアジサイ

名は、木本のアジサイの仲間で、草本であることによります。従って、冬期、地上部は枯死します。また、花期は梅雨に咲くアジサイより遅く、8月頃です。四万十川流域では津野町船戸以北の渓流沿いで多く見られます。花はアジサイと同じように、装飾花(4枚のがく)と両性花から成り、ピンク色のイルミネーションのようになります。残念なことに、今夏は猛暑乾燥がひどく、状態の良い個体がほとんどありませんでした。(2013年8月18日撮影、高知県梼原町)

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