今日の午後は水生生物研究家の石川妙子先生を講師にお招きして水生昆虫の研修会をしました。四万十町企画課四万十川対策室の面々も一緒です。

場所は四万十川財団事務所から歩いてすぐの吉見川。窪川の町の中心部を流れる、四万十川の第一支流です。

生活排水が流れ込むこともあって、吉見川は、地元では「きたない川」。確かに本流にくらべると、少し水がにおいますが、意外に生物相は豊かなんです。四万十川財団事務所には吉見川の魚を集めた水槽があって、アカザ、ドンコ、カワムツ、オイカワ、モツゴ、カワヨシノボリ、カマツカの7種が泳いでいます。国内外来種も混ざっていますが・・・

最初に、石川先生から、なるべく多くの種類を獲るためいろんな環境を探るよう指示があって、各々捕獲作業へ。

と、そこへ「あ、四万十川の人だぁ-」と近所の子どもたちが。昨年一緒に四万十川本流で水生生物調査をした窪川小学校の子どもたちです。

奧に見えているのが吉見川の支流「琴平川」。
川底に「四万十川方式浄化槽」を埋め込んでいることで有名です

四万十町四万十川対策室と私たち四万十川財団には共通の目標がいくつかあって、その一つが「吉見川を窪川小学校の子どもたちの道草の場にすること」。窪川小学校はこの川のすぐ脇にありますが、今現在、ここで遊ぶ子はほとんどいません。一つには先ほどの水質の問題があって、「あんなとこで遊んじゃダメ」となるんですが、でも、その水を汚してしまっているのは人です。もちろん、町の構造上の問題があって、そこは四万十町とも協力して対応していかなければいけません。

さて、肝心の採取の方ですが、当初の採取作業、ひとまず30分を予定して、対策室の常石さんにタイムキーパーをお願いしておいた所、案の定皆が揃って夢中になり、気づけば1時間半経過。急いで事務所に戻りソーティング、同定作業に移ります。


なぜか床に座り込んでソーティングをはじめる石川先生。この格好を長く続けると、腰が痛くなります・・

 四万十川では独自の基準を設けて水質の調査をしています。詳しくは下記リンク(高知県環境共生課HP・四万十川清流基準調査手引書)をご覧ください。

高知県環境共生課・四万十川清流基準調査手引書[PDF:1MB]へ

  環境基本法に定められた環境基準は、もともと公害を防ぐ目的から定められたものであって、四万十川のようにきれいな川の「水のきれいさ」を表したり、人間が感じるわずかな水質の変化を表すような基準はありませんでした。
 そこで、もう少し住民の方々がわかりやすく、調査に参加しやすい基準で、水質の状態を表すことができないだろうかと考えて、環境基準のほかに、清流度、窒素、りん、水生生物という四万十川独自の新たな清流保全の目安を定めました。水生生物についても、他の河川で設定しているものより細かく、また、きれいな水に済む生きものを多く取りあげています。高知県環境研究センターの職員さんが、多くの調査がなされるであろう夏を中心に見られる生物から苦心惨憺して作った力作です。

今日の調査で採取できた水生生物の結果はこちら。

四万十川方式 
水生生物スコア表



指標生物スコア値
備考
アミカ10

サワガニ9

チラカゲロウ9
ヒラタカゲロウ9
カワゲラ9フタツメカワゲラ
ナガレトビケラ9ムナグロナガレトビケラ
携巣(けいそう)性トビケラ 9ニンギョウトビケラ
ヘビトンボ9
ヨコエビ9
タニガワカゲロウ8シロタニガワカゲロウ
マダラカゲロウ8アカマダラカゲロウ・クロマダラカゲロウ
ヒゲナガカワトビケラ8※今蛹になっている
ナガレアブ8
カワニナ8
モンカゲロウ7
サナエトンボ72種類 
ナベブタムシ 7
シマトビケラ7ウルマーシマトビケラ・ナミコガタシマトビケラ
ガガンボ7ウスバヒメガガンボ
ブユ7
テナガエビ7
プラナリア7
コカゲロウ6サホコカゲロウ・シロハラコカゲロウ
キイロカワカゲロウ6
ヒラタドロムシ6
ホタル6
スジエビ6
モクズガニ6
イシマキガイ6
アミメカゲロウ5
タイコウチ5
ミズカマキリ5
シジミガイ5
タニシ4
モノアラガイ3
ヒル2
ミズムシ2
アメリカザリガニ1
赤いユスリカ 1
サカマキガイ1
イトミミズ1
合計11016種ASPT値 110/16=6.875

スコア値合計が110。ASPT値は、それを出現種数16種類で割って6.875でした。

↑上記水質階級判定基準に従えば4。やや汚れた水です。

ちょっと長くなりました。個々の水生生物についての解説についてはまたいずれ。