大阪のはつしば学園小学校で行われた全国河川教育実践事例発表会に参加してきました。全国河川教育大学間ネットワークが主催したこの発表会では、このネットワークの拠点大学と、河川教育に取り組む小学校の活動事例が発表されました。
午前中は河川教育を先進的に実践している、はつしば学園小学校の野外授業を見学。学校近くにある公園の池でPACテストとプランクトンネットを使った水質調査の様子を見学させていただきました。はつしば学園小学校では、近くにある日本最古のダム、狭山池ダムやその周辺の河川や池をフィールドに河川教育に取り組んでいるそう。
午後から始まった発表会では、全国から集まった大学教授や、小学校の先生方がそれぞれの取組について発表。その中でも特に印象に残った事例を紹介します。
午前中に授業を見学させていただいた、はつしば学園小学校の橘氏、板垣氏による発表。はつしば学園小学校では「はつしばサイエンス」として、主に理科に基づいた河川教育に取り組んでおり、狭山池ダムや周辺河川を活用した水質調査や、より本格的な調査を行う放課後サイエンス教室を開催しているとのこと。さらに理科だけでなく国語、数学、社会、家庭科、図工、道徳でも河川教育に絡めた内容で授業を行っているほか、地域の小中学校や住民とも連携した学習にも取り組んでいます。環境学習となると多くは総合学習として扱われることが多い気がしますが、5教科それぞれの視点で河川を捉えられることに驚き。また河川を活用した学習というと生きもの調査や水質調査など、少し型にはまった学習方法しか思い浮かびませんでしたが、とても良い視点をいただいたような気がします。
北海道教育大学の境氏による発表。河川教育を推進している大学側から小中学校へ普及を呼びかけても、教員はなかなか河川教育に時間が割けない、「○○教育」といった新しい部門の教育には尻込みしてしまうなど、直接学校側と交渉してもなかなか受け入れられない現状を説明。また教員にも異動があり、せっかく熱意のある先生がいても異動になった途端続けられなくなる可能性があることを指摘し、学校だけでなく地域や大学が関わることで持続可能性が高まると説明していました。
ポスター発表からは北海道教育大学の事例。学生による「川探検」によって、河川に興味のある学生が後輩に魅力を伝え、興味をもってもらうことで、将来教員になった時に河川教育に取り組めるような人材を育てるというもの。教員が河川に対して「危ないから近づいてはいけない」という認識を持っていることの多い現代において、とても意義のある取り組みだと感じます。
お次は高知県佐川町の黒岩小学校の事例。黒岩小学校では4年生から6年生を通して仁淀川水系柳瀬川に関する河川教育を行っており、柳瀬川×米づくりや、歴史、生きもの調査などの活動を通して黒岩地区と柳瀬川のつながりについて学習しています。また、はつしば学園同様、国語や数学、社会、理科、家庭科と5教科でも河川に絡めた学習内容を展開しており、さまざまな視点から柳瀬川について学んでいます。地域資源を存分に活かした内容で、四万十にも参考になる部分が多いのではないかと感じました。
四万十川では近年川で遊ぶ子どもが減ってきており、環境学習を通して子ども達に川に慣れてもらうとともに、川の楽しさを知るきっかけになればと思っています。今回得た知識を活かしながら、これからも子ども達に四万十川を好きになってもらえるような、そんな学習をしていきたいです。