10月5日(土)、6日(日)の二日間にわたり滋賀県大津市で開催された「第12回 いい川・いい川づくりワークショップin滋賀・京都」に 四万十町企画課四万十川対策室の中井室長、坂東主査と一緒に参加してきました。北海道から九州までの36団体が自分たちの取り組みについて発表し情報交換します。

詳細について興味のある方は下記プログラムをDLしてご覧下さい。

「第12回 いい川・いい川づくりワークショップin滋賀・京都」 プログラム

36団体がAからGの7つのテーブルに分かれ、1日目の全体発表会で3分間ずつ 発表した後、テーブル選考(一次選考)→復活選考→入選者発表会→全体選考(二次選考)→公開討論会(最終選考)→表彰等の順番で進んでいきます。

私たち四万十川財団は今回初参加。スタッフ羽方が四万十リバーマスター制度の取り組みについて発表しました。

どれも川愛に溢れた熱心で面白い取り組みで勉強になりましたが、その中で私(神田)が特に興味を持った発表について抜き出して書きます。

地域の記憶からたどる豊かな川づくり 

山内エコクラブ

 アピールポイント: (第12回いい川・いい川づくりWSin滋賀・京都HPより) 
① 山内全6地域の古老から70年前の様子を聞き取り昔の様子を絵屏風に表現した。現在の川の様子と比較した。
② 水にかかわるかつての生活文化の工夫と水への気遣いを記録した。
③ 古老から聞き取った昔の様子や多様な生き物がいた場所を、市民による保護区域として設定した。
④ 区民が案内役となり、絵屏風マップを活かしたツーリズムを進めた。
⑤ 昔の水辺の遊びや漁具を用いた魚つかみ等の回想により古老の記憶が鮮明になった。本事業は、多様な主体による地域資源を活かしたまちづくりの位置づけている。
キーワード: ① 地域の記憶 ② 絵屏風マップ ③ 生物の多様性

11年前、小5の時にこの場で発表した子が、大学生になっても続けている取り組みの発表でした。聞き書きで描いた絵屏風で集落の人の心に70年前の山内を再現してもらう”山内の自分史”づくりの活動でした。惜しくも準グランプリでしたが、この活動が生み出した人と人との繋がりにはじんとくるものがありました。

明石川を守る ~清き流れの明石川を育むために~  

玉一アクアリウム

 アピールポイント: (第12回いい川・いい川づくりWSin滋賀・京都HPより) 
⑤神戸市立玉津第一小学校の在校生と卒業生で活動しています。
子供達が協力し合って積極的な発言と行動で、「してあげる」「してもらう」ではない、共に考え、共に学ぶ、相互関係を大切にしています。
キーワード: ① 環境保全 ② 外来種駆除 ③ ざわめく川

今回の最優秀賞受賞。おめでとうございます。小学生4人の練習をしっかりした上での発表もさることながら、背後に見え隠れする大人達の熱意と教育理念がひしひしと伝わってきて、グランプリ文句なしのプレゼンでした。今回の流行語にもなった「僕たちにはまだ時間がたっぷりあるので」。これからも息の長い活動を通していい川にしていきたいという言葉に、私も含めて残り時間が少ない大人達ははっとさせられました。

生きものの住みやすい環境は人も住みやすい!  

小佐治環境保全部会

アピールポイント: (第12回いい川・いい川づくりWSin滋賀・京都HPより) 
④冬季湛水と水田内水路作りで1年中田んぼに水を設け、生きものが過ごせるところを設けると、生きものも増えて来ました。昔は一年中田んぼに水をつけて稲作をしていました。 作業の機械化が進み、田んぼを大きくして乾田化して来ました。こんな中で生きものとの共生は、やはり水辺を作ること、泥くさい作業を施すことにより、徐々にいろんな生きものがやって来て、賑やかな田んぼに変身してきました。
キーワード: ① メダカ一杯 ② 泥くさい水辺作り ③ 蛍乱舞の田んぼへ

水田の冬期湛水と水田内水路で生物と相利共生する米作り。四万十川流域でもぜひやりたいと思っていた取り組みです。もっと詳しく聞きたかった。

「しぞ~か防災かるた」で“しぞ~かのいいとこ”と“防災の心得”を楽しく学ぼう!!  

しぞ~か防災かるた委員会

 アピールポイント: (第12回いい川・いい川づくりWSin滋賀・京都HPより) 
①② 「静岡市を中心とする静岡県の文化、歴史、風土の特徴(水辺も含む)」の 上の句(5・7・5)と「防災の心得」の下の句(7・7)で両方とも楽しく学べる。
③ 「しぞ~か防災かるた」を普及することで自然と地域の良さを知ることができるとともに 防災の心得を習得することができ、防災意識の向上につながり、更に“いい川”づくりへと結びつく。
④ 読札は、静岡高校、下田北高校や静岡文化芸術大学などでワークショップにより創作した作品、静岡市内の俳句の会の作品、公募による作品などから構成されており、絵札は、イラストレータである「じょんじょん」こと高山みほ氏がワークショップなどで句に合ったイラストを基本に作成した。
キーワード: ① しぞ~か防災かるた ② しぞ~かのいいとこ ③ 防災の心得

ぜひ全国で水平展開したい活動です。静岡の自慢、いいところを上の句に、防災の心得を下の句に組み合わせたカルタで、上の句と下の句が着いているようないないような微妙な組み合わせなので、本気で取ろうと思ったら暗記するしかない。そこが狙いのカルタです。たとえば、

つ 

安倍川の 川面に映える スターマイン  

              波は川を 遡る

今の世で 弥次喜多道中 するならば

      守宅に残せ  メッセージ

高知でも真似していいですか?とお聞きしたら、「どうぞどうぞ」と二つ返事。四万十川バージョンを考えてみたいと思います。

【旭川源流の碑】 「旭川における流域を連携した水環境・地域をまもる活動」  

旭川流域ネットワーク

アピールポイント:(第12回いい川・いい川づくりWSin滋賀・京都HPより)
①流域全体で川守との相互交流により流域を連携した継続活動が出来るような仕組みとして「旭川源流の碑」を実施。毎年源流地の木を伐採し、地元の子供達の手作りで碑を作り、リヤカーに載せ、リレーで流域各地(建立地~河口~建立地)を8ヶ月かけて巡り、次代の子供達によりよい水環境を引き継ごうという決意の証として建立。1年間毎週実施。
②毎年歩く速度で川を見て歩き、その経路で様々な方とふれあい、到着地で待っている方たちとの交流の中で各地域の歴史や課題等様々な問題点について話し合える。また、交流懇親会で使う炭も自分たちで焼いている。
③川は人との結びつきや人の思いがあってこそ「いい川」
④物事を前向きに考えるように心掛け、継続出来るよう、無理なく楽しい活動を心掛けている。
キーワード: ① 全ての川に川守を ② 楽しく無理なく ③ 交流の継続が何かを生み出す

中身を聞けば聞くほど驚いたのがこの活動です。上のアピールポイントの①をよく読んでください。「毎年」支流の源流域の木を切って地元の子どもと「旭川源流の碑」を作り、それを「リヤカーに載せ」「リレーで」流域各地(建立地~河口~建立地)8ヶ月かけて巡り、次代の子供達によりよい水環境を引き継ごうという決意の証として建立。1年間毎週実施。(神田注:毎回懇親会付き)。

毎週です。毎年です。ちょっとやそっとの気持ちでは真似できません。それをここの人達は好きで好きでしょうがなくてやっていました。情報交換会で話を聞いた中流域世話人の宮内輝正さんは、かつて仕事の関係で高知県の宿毛市に6ヶ月単身赴任したそうですが、その間も毎週岡山に戻ってこの活動に従事したそうです。「人の繋がりがすべてなんだ。それがあったから好きでやってこられた。」とおっしゃっていました。簡単には真似できませんが、一つ一つの源流を守ることで四万十川を守っていこうと考えている私たちにとって、もっとも心に響いた活動でした。「1つの支流に1人の川守を」という考え方にも学ばされました。幸い私たちには四万十リバーマスターという心強い人たちがいますので、四万十川でも取り組んでみたいと思っています。

最後に、参加団体のポスターを一覧で載せておきます。

他にもご紹介したい活動が沢山あり、本当にいい刺激、いい勉強になりました。みなさん、また来年お会いしましょう。