文景協では今ある景観MAPを大きく修正して、新しい景観MAPを作るために構想を練っています。そこで先日、北九州からデザイナーさんに来てもらい、どんなMAPにするか、みんなで協議しました。
今回MAPの改訂に関わっていただくのは、NPO法人九州コミュニティ研究所の耘野さん、池田さん、矢舗さん。NPO法人九州コミュニティ研究所は、福岡を中心にイベントや地域情報誌、地域づくりなど、とにかくいろんな分野の企画デザインを行っています。なかでも耘野さんは長崎県平戸の文化的景観に関わっているなど、文化的景観への造詣も深く、文景協としてもとても心強い存在です。
そんな強力な助っ人たちと一緒に作る新しい景観MAP。今回の修正で目指すのは、四万十川の景観の価値、また楽しみ方を訪れた方々に理解してもらえるようなMAPを作ることです。そのために現景観MAPの課題は何なのか、目指す景観MAPのために何が必要かを、耘野さん達の進行のもと、ワークショップ形式でみんなで話し合いながら構想しました。以下では手順に沿って当日のワークショップの様子をご紹介します。
手順1 ターゲティング
あるひとつのモノを作り上げるときに何が重要になってくるのか、今回教えてもらったのがターゲティングです。「みんなに喜ばれるものは誰にも喜ばれない。」という言葉が印象的でしたが、ターゲットを絞ることで、そのニーズに合ったモノをより戦略的に作り出すことができると言います。
ということで今回は、四万十に今実際来ている人はどんな人か、今後来てほしい人はどんな人かを各々が出し、それを年代別で分けて見てみました。
このようにして見てみると、今来ている人は、目的は皆それぞれでしたが、全体的には年代ではやはり中高年が多い印象。川遊びになると若い人(特に大学生)や家族連れが多いようでした。
そして来てほしい人に関しては、それぞれの思惑からたくさんの来てほしい人が現れました。日本文化に興味を持っている外国人、SNSで発信してくれるインフルエンサー、1週間以上滞在して流域を巡ってくれる若者などなど。ここで現れた人々がこのあと行う作業の主人公になります。これでターゲットが絞られました。
手順2 ペルソナを設定する
先ほど出てきた今後四万十に来てほしい人たち。各々が考えた一番来てほしい人たちをペルソナ化し、次のステップでその人のカスタマージャーニーを制作します。ここで大事なのは、ペルソナの人物像を詳細に作り上げること。名前、年齢、性別はもちろん、独身か既婚か、職業や居住地、趣味や悩みなどなど事細かに設定します。そうすることで、そのペルソナが何を求めるか、どんな感情を抱くかを想像しやすくするそうです。
手順3 カスタマージャーニーを作る
手順2で作ったペルソナが四万十を訪れるとき、訪れる前、中、後のペルソナの行動や気持ちを想像しタッチポイントを作成します。訪れる前、ペルソナは何を求めて四万十に来るのか、実際に来てどんなことをしてそこで何を感じるのか、帰った後、どんな感想を持っているだろうか。ペルソナ自身になったつもりで想像してみます。
手順4 課題を考える
カスタマージャーニーが作れたら、ではなぜ今それが実現できていないのか、何が障害になっているのか、その課題を考えてみます。
手順5 MAPをどう使うか考える
手順4で考えた課題を解決するために、今のMAPをどう変えたらいいかを考えます。英語版を作る必要があるのでは? もっと映える写真を! QRコードをつけてみては?などなど様々な意見が出ました。ここで出た意見が、修正案の素材になります。
ワークショップを通して、ターゲットに対して今の景観MAPに足りないものを洗い出すことができました。ハッとさせられるような指摘もあり、今のものより確実にいい景観MAPが出来上がることでしょう!課題をクリアするために宿題も多く出ましたが、今後もみんなで知恵を出し合いながら素敵なMAPを作り上げますよ!完成をお楽しみに!
今まで文景協でやってきたこととは少し毛色が違った今回のワークショップ。慣れない作業ではありましたが、耘野さん達指導のもと、和気あいあいとそれぞれが意見を出し合いました。今回得た知識は、これから文景協や各市町で何か企画を立ち上げようとするときに、必ず役に立つものです。耘野さん、矢舗さん、池田さん、今回は本当にありがとうございました。