先日、四万十川流域文化的景観連絡協議会(文景協)で、前回の下田に引き続き梼原町松原地区で景観学習会を行いました。一昨年から行っているこの取り組みですが、今年度は「活用を考える」ことがテーマ。今回は松原地区の久保谷森林セラピーロードを視察しながら、文化的景観の活用について考えます。
といっても、松原地区の久保谷森林セラピーロードは活用法としての形が出来上がっているタイプで、ガイドツアーもすでに行われています。今回はモニター的な、今あるかたちのブラッシュアップを目的に視察に伺いました。
今回セラピーロードを案内してくれたのは、松原まろうど会会長の下元廣幸さん。下元さんが営む「民宿 山遊亭」は、四万十川すみずみツーリズム連絡会の会員になっていただいており、下元さんにはすみずみでもお世話になっています。
久保谷森林セラピーロードは、久保谷川沿いにひかれている水路に沿って整備された約3㎞の遊歩道で、2007年に森林セラピー基地(特定非営利法人森林サイエティが定める、森林浴による癒やし効果が科学的根拠によって認められている森)に認定されました。この水路は約100年前、昭和初期に周辺の水田に水を引くために作られたものですが、現在この水路を利用している農家は2軒のみ。しかし、セラピーロード周辺には今でも複数の棚田跡が残っているほか炭窯跡も見られ、遊歩道を歩きながらかつての松原の暮らしを垣間見ることができます。
道中では下元さんが周辺に生えている植物などについて説明してくれます。ガイドは町内に8人、町外に2人ほどいるそうですが、それぞれ持っている知識などが違うためガイドによってその案内の仕方はさまざまなんだそうです。セラピーロードの管理は基本的に下元さんお1人でされているそうですが、1人で整備しているとは思えないほど、水路はもちろん、水路沿いに積まれた石積みや遊歩道もとてもきれいにされています。またところどころに立てられている看板も下元さんお手製のもので、とてもユーモアがあって可愛いので歩かれる際はぜひそちらも楽しんでみてください。
広場になっているスペースで1時間ほど昼食休憩。これまではセラピーロードを歩かなければこの場所に来ることはできませんでしたが、今年に入って対岸へ橋が設置されたことで、車でも広場のすぐ近くまで来られるようになりました。また、これまでセラピーロード沿いに川に下りられる場所がありませんでしたが、橋が架かったことで川にも下りられるようになり、セラピーロードの活用の仕方が多様になるのではないかと期待されています。
セラピーロード終盤、コンクリートの水路から赤土でできた水路に変わります。もともとこの水路は赤土を使って作られたもので、今は大部分がコンクリートで整備されていますが、少しだけかつてのかたちが残されています。上で載せたコンクリの水路と比較してもだいぶ様子が違いますよね。
ほどなくして水路は久保谷川と合流すると、セラピーロードもあと500mほどでゴールです。
水路終点 かつての水路の様子がわかります
歩き終わったら近くのパン屋「シェ・ムワ」でパンを購入。こっちに来たら必ずと言っていいほど立ち寄るお店で、かなり辺鄙なところにあるにもかかわらず平日でもお客さんが多い人気店なんです。梼原町のジビエを使ったサンドイッチも美味しいので是非食べに来てみてください。
今回の現地研修を活かしてまた次回松原の活用について文景協で考えます。次回どんなアイデアが飛び出してくるのか、楽しみですね。