四万十川では2020年11月、アユの大量死が確認された。
ちょうど、その日は、四万十川中央漁協の産卵床つくりに参加していたのだが、鮎が産卵後に大量に死んでいるところや、産卵に集まる伏流水の出る場所があると案内してもらった。
それがこの写真
産卵した鮎はこんなにもたくさん死んでしまうのかと、産卵床のキラキラ輝く鮎の卵をみて生命の循環をひしひしと感じていた。
だがしかし、これは産卵後の鮎が命尽きたのではなく
病気
だったらしい。
確かに、よく見ると真っ黒な鮎ではなく、なかなかふっくらしてきれいな鮎たちが死んでいる。
この時、感慨深く撮った写真だが、鮎の病気を研究している高知大学の今城雅之先生の報告書で使っていただくことになった。
これを機に、四万十川財団でこの事件について勉強会を開くことになった。
それが今回の「アユの病気のおはなし」である。
この勉強会は、四万十川の鮎に精通した四万十リバーマスターたちに、鮎の病気や放流鮎について考えてもらうのが目的だ。
講師は先述した
高知大学教育研究部自然科学系農学部門准教授 今城雅之先生
そして
今城先生の研究室学生である
4年生湯川明音さんと今西晃育さん。
勉強会の資料は未発表のデータがあるため公開できないが
非常にわかりやすかった!
主に4つの病気について
①冷水病:酸素を好みエラや体表で増殖し、出血死。体表に穴が開き、ヒレの発赤、あごの欠損が見られる。
②エドワジラ・イクタルリ症:酸素を嫌い体内で増殖。25~30℃の渇水時に発生。体表に赤斑点、肛門発赤、腹水貯留が見られる。
③エロモナス症:酸素を嫌い体内で増殖。21~25℃で発生。腹水貯留、肛門発赤が見られる。
④ボケ病:エラに感染し酸欠、ふらふらと泳ぐ。
といった病気を報告してもらった。
特に、エロモナス症は今回の大量死の原因となり、四万十川では初確認の病気だという。
発生源は放流された鮎からという線が濃厚であり、放流鮎のリスクを改めて認識させられた。
参加者の中には、放流の鮎に頼るしかない上流域に住む方もいて、非常に困惑しているようだった。講演後の質問タイムでは、様々な質問や意見が飛び交い、非常に熱い話になった。
「放流はやめるべきだ」
「他の魚種には感染しないのか」
「川に残ってしまうのはどうして?」
「放流しないならどうすればいいのか?」
最後に、今城先生より、放流する前に新しい病気に関しても検査をし、情報をしっかり共有することが大切だとお話をいただいた。
今回は、非常に有意義な会になり、解決されていない病気の調査経過について2回目も開催できればと考えている。
後日、早速、お電話で数名の方にご意見をいただき、上流域では前向きな話も進んでいる。今後も四万十川財団として情報提供や共有に尽力していきたい。