バイカオウレン(梅花黄蓮)です。四万十川百名花の5。
【2013年2月24日撮影、於:四万十町、撮影・解説:杉村和男】
四万十川で梅咲く頃、時同じくして、バイカオウレンの花が咲きます。早春の花というよりは、冬の花(年によっては、雪に埋もれていることもあります)という印象が強いのは、一面に咲く様が、残雪を思わせるからだと思います。一般に呼ばれている梅が中国原産なのに対して、バイカオウレンはまさに日本に野生する梅です。ブーケのようになって、いくつも咲く姿はロマンチックです。
(春の息吹)モーツアルトの曲の中に「春への憧れ」という歌があります。その詞の中で、モーツァルトは、「冬には冬の楽しみ方がある」と書いています。スキー、スケート、そり遊び・・・。バイカオウレンの花咲く景観というのは、冬の穏やかな日を感じさせる、そんな冬の楽しみ方の一つだと思います。
花のアップです。名前のとおり、梅の形をしています。オウレン(黄蓮)は、同名の生薬と同じ仲間であることによります。
梅とバイカオウレンの違いですが、梅は木、バイカオウレンは、多年生草本です。また、梅はバラ科、バイカオウレンは、キンポウゲ科になります。薬効があるという点は、共通しています。四万十川流域では、四万十市、四万十町で見られます。
この写真で注目していただきたいのは、葉です。バイカオウレンは、高知県が産んだ偉人、牧野富太郎博士が最も好んだ花として知られています。そのため牧野博士の業績を讃えた高知市の牧野植物園では、この葉がロゴマークになっています。バイカオウレンは、四万十川の冬の代表花にして、牧野富太郎博士縁の花でもあります。