今年、3月に第1回目のアユの病気のおはなしをしましたが、今回の第2弾は「川の流れと土砂の移動のおはなし」です。
四万十川は昔に比べて、汚くなった。石の間の目詰まりや砂地が増えて、生物の棲みかがなくなった。今の四万十川は大丈夫なのか・・・と四万十川流域の方々からよく耳にします。
しかし一方で、私たちは水がどう流れていくのか、水によって石がどうやって流れるのかをよくは知りません。川の変化について話すものの、基本的な知識も勉強する機会もあまりなかった人がほとんどではないでしょうか。
そこで、今回は、川の流れや土砂の移動の基本的な知識を学ぶための勉強会を開きました。講師は、高知工業高等専門学校教授の岡田将治先生にお願いしました。岡田先生は河川工学の中でも、土砂水理学、河川災害がご専門で、国交省の委託を受けて四万十川のアユ産卵場付近での土砂動態の調査もおこなっておられます。
1時間の講演でしたが、難しい話も非常にわかりやすく、現在の四万十川でのアオノリや鮎の産卵場などの研究内容まで多くのことをお話しいただきました。
水の流れは何で決まるのか。現場で見ているポイントはどこか。増水時の流量や下流への影響等を計算していくためにどんなデータが必要で、それがほとんど取られていない、従って知りたいことを知るためには自分たちでデータを取らねばならない、など、今後の四万十川を考えていくために必要なことがよくわかりました。
講演後、1時間程度の質疑応答と意見交換を行いましたが、参加者の方に熱心に質問していただき、先生にも丁寧に答えていただきました。なかなか聞けない質問や意見が率直に飛び交い、刺激的な時間になりました。
「昔の四万十川はきれいだった」と、昔から今への変化に注目することが多いですが、「大切なのはこれからの四万十川をどうしたいかなのだ」と、先生は言います。どうしたいかによって着眼点は変り、その方法も変わる。これからの四万十川について考えるのは、私たちみんなであり、住民や行政、民間、多くの人々が考えを寄せていくことが必要なのです。私たちは研究者の皆さんに、漠然と「四万十川をきれいにするにはどうしたらいいか」という問いを投げかけてしまいますが、それは少し無責任で、その「きれい」を私たちがもっと具体的にイメージしていく必要があります。四万十川に良い変化を本当に求めるなら、もっと私たち自身が勉強し、何がこれから必要なのか判断できる力を少しでもつけていくべきです。
今回のような勉強会を、より多くの人と共有していきたいと思います。
岡田先生、参加者の皆様、ありがとうございました。