四万十川の夏は、川で多くの人が活動します。川遊びに来た家族、友達グループ、アユ釣りに来た人たち、カヌー体験などなど。たくさんの人が集まり、1年で一番活気のある季節です。
それと同時に、川での事故も多くなります。どれだけ注意喚起をしてもゼロにはならない事故。事故になっていないだけで、怖い思いをした人もたくさんいるはずです。楽しい川の思い出を楽しいままにするためには、当人たちの準備や対応が重要です。
そのために、四万十川財団では、夏が本格的に始まる前に「四万十川安全講習」を行いました。対象者は、四万十リバーマスターの皆さんでしたが、人数に余裕があったため一般募集も行いました。
前日は下見へ
講師は、川のガイドやトレーナーを行っている谷光承さんです。高松から、大きなバンに大きなカヌーを積んで来てくれました!
前日に、当日の会場下見を行いました。それまでに降り続いた雨により増水し、水位が心配でしたが、何とかできる水位だという判断で、現場講習も行うことが決定しました。
机上講習 まずは基本的な知識を学ぶ
さて、始まりました。四万十川流域から8名の参加です。
午前中が机上講習、午後が現地講習です。
まずは、自己紹介をしてもらいました。川のイベントを安全を考慮に入れて企画したい、子どもを川で安全に遊ばせたい、自身の安全に対する知識をつけたいという想いで参加いただいていました。
ご自身のヒヤリハッとした川での体験も共有する時間を作り、その際にどうしたらよかったのかを全員で考えることができました。
本題の講習では、谷さんから安全を守るために必要な準備について、どんな川の状態が危ないのか、危険の回避方法などを詳しく教えていただきました。
四万十川でも毎年のように水難事故が起きていますが、その事例を基になぜ起きたのかなども解説いただきました。夏休みに入る今の時期から9月ごろまでが全国的に一番水難事故が多い時期のとのことで、気が引き締まる思いです。
現地講習 川で実際に体験する
午後からは実際に川へ行って体験講習を行いました。少し曇りがちで、出水の後のため水温は23℃ほど。夏とはいえ、冷たい水ですが、元気に午後を迎えました!ヘルメットとライフジャケットをしっかり着用して挑みます。
ライフジャケットの浮力と身を守る流れ方
ライフジャケットを着て、実際に水に浮いてもらいます。ライフジャケットは体重の10%ほどの浮力のものを選びましょう。大きな男性でもしっかりと顔を出して浮かぶことができます。
流れるときは、足を下流側に向けてお尻を上げ足を水面に出して流れます。流れる方向を見ながら危険物をよけるためです。
浮かんでいるだけではなく、自力で岸へ戻る流れ方と泳ぎ方も学びました。
泳ぎは2パターンあり、ディフェンシブスイミングとアグレッシブスイミングです。ディフェンシブスイミングは、流れる体制を維持したまま両手を回しながら水面を押し、頭の方向に泳いでいきます。アグレッシブスイミングは、フェリーアングル(流れに対して45度上流)をとって、顔を上げた状態で水をしっかりかきながらクロールします。どちらの泳ぎ方でも良いのですが、実際にやってみて泳ぎやすい方を選びましょう。
皆さんうまく泳げていました!
スローバックを用いた救助法
救命具として「スローバック」というレスキュー用品があります。読んで字のごとく、ひもが入ったバックを意識のある要救助者に投げて救助するものです。携行しやすい救助用品ですが、うまく投げることができないと意味がありません。2人一組になって、救助するされる体験を行いました。
スローロープを投げるのは単純なことですが、20m分の浮くロープが入っているため、実際に投げてみると女性には重いです。水で濡れるとなおさら。遠投力も必要なので、みなさん、苦労していました。今回は、全員十分準備をして落ち着いた状態なので、失敗しても要救助者役のほうが何とかロープを掴んでくれますが、本当の救助の場面ではそうはいきません。的確な位置に投げられるよう、さらなる訓練が必要だと感じました。
救助される側も安全に救助されるために少し知識が必要です。岸に引っ張ってもらうために岸と反対側の肩からロープを渡し両手でしっかりと握ります。逆だと、体が反対になり水面に顔が浸かってしまうのです。要救助者にどんな持ち方をしたらいいか、岸から指示してあげるためにも必要な知識です。
スローロープ以外の代用品で、ペットボトルによる救助や浮き輪での救助も挑戦してみました。それぞれに投げ方の工夫が必要でした。
皆さん、寒い中、みっちりと体験してもらい、それぞれに収穫があったようです。
今後それぞれの場所で、しっかり活かしてもらえると嬉しいです!
また、このような講習を多くの人に定期的に行いたいと思います。ぜひその際は、ご参加ください!!!四万十川の楽しい思い出が楽しいままに!