組合長 武政賢市氏
子どもの頃から他の遊びもなく夏は川に行っていた。代々、祖父から火振りの許可をもらっていて鰻、アユ、ハヤを獲っていた。大人になってからも父と火振りにいっていた。今は、梼原川で、ツガニ、ウナギ、エビをとる。
組合長になったのはみんなからの推薦。漁協は開かれた組織であるべきだと考えている。今までの旧体制から脱却し、組合員のための組織にしていきたい。組合長になって1年以上たったが、11回ほど理事会を開いて、東部漁協の新事務所の開設や事務員の雇い、HPの開設を行った。
四万十川東部漁業協同組合の基本情報
- 組合員数:252名(正・准)
- 管轄範囲:梼原川津賀ダムより下、家地川堰堤より下~四万十市と四万十町の境
- 主な漁:ウナギ(延縄・コロバシ)、アユ(火振り、友釣り)、ツガニ(流れ込み、カニかご)、エビ(一部で獲っている、あまりいない)
去年は遊漁者が多く、1050人!572万円の金額になった。
- 取り組み
1.放流事業として鮎・鰻・アメゴ・ツガニを放流している。
2.鮎の遡上調査・流下調査・由来調査に参加
3.漁場の監視・見回りを行い、注意喚起ののぼりを立てている。
Q四万十川東部漁業協同組合の課題とこれから
- 組合員の高齢化と減少
組合員が年々高齢化していき、徐々に減っている。それとともに組合としては組合費の収入も減っている。そして、伝統漁法の継承ができない状況になっている。十和地域は、川舟を船外機や櫓も使わず竿一本で川漁をする。この技術は他の地域の人がマネできないほど高い技術だが、どんどんできる人が減っている。
- 自主財源不足
現在の組合の財源は、賦課金、遊漁料、行使料がメインになっている。組合員が減ると遊漁料に頼ることになる。組合員を少しでも増やしたいと考えている。組合員になるメリットを提供していかなければいけない。自分たちで売る方法を考える必要があると思うが、その前に、鮎がどれだけ獲れているかをデータとして蓄積させなければいけない。遊漁券の取り扱い店舗に聞き取りをお願いし、四万十町と連携して組合員にアンケートをとろうとしている。実際に売る方法を考えると人材、財源、流通など非常に労力がかかるため、他の方法も検討しないといけない。鮎のブランド化にも積極的にかかわっていきたい。
- 資源の減少
平均的には鮎の資源も減少傾向にあると感じる。毎年放流しているが、増殖事業へも限界を感じている。放流した鮎の定着率が悪いのではないかと懸念がある。鮎が定着する時期はいつなのか、放流時期の最適化を図っていく。
他にも、アオサギやカワウ、外来魚による影響で鮎が減っている。
- 河川環境の悪化
昔に比べて、川底が見えなくなった。ダムの影響が大きいと感じている。梼原川を源流域からカルストの石灰岩が流れてきていたが今はなくなった。大雨が降ると濁流が長びいて砂が溜まっていくのが見える。
Qこれからの取り組みについて教えてください。
遊漁者の人を増やしたい。遊漁者のために入川道の整備を行いたい。また、鮎のポイントに看板をつけていこうと計画している。現在、砂利やヨシが溜まっている河原にユンボを入れて改良をしていこうとしているところだ。
Q川漁をしたい人達へメッセージ
友釣り教室をやってみようか?うまくできない人もいるし、なかなか獲るのは難しい。練習をしないといけないが、川には既得権があり、よく知らない人が入りにくい。練習ができるような特別区を作ってみても良いかもしれない。