2021年11月18日。四万十市と広見川流域の市町で構成される広見川等農業排水対策協議会との意見交換会が行われました。高知県からは四万十市の各担当課、県自然共生課の皆さんが参加され、愛媛県からは、宇和島市、鬼北町、松野町の各担当課、愛媛県南予地方局、JAえひめ南の皆さんが参加されました。当財団は、昨年の清流通信取材をきっかけにその後の経過をたびたび取材させていただき、今回の意見交換会にも参加させていただきました。

広見川等農業排水対策協議会の取り組み

まずは、それぞれの取り組み状況について報告がありました。

広見川等農業排水対策協議会では、昨年から石膏資材の投入による代かき時の濁りを抑制する実証実験が行われており、2年目の結果報告をいただきました(この取り組みは以前も清流通信で詳細に紹介しています)。

濁りの軽減効果は一定あるものの、圃場によっては土質の違いによって効果が少ない圃場もあるようです。また、昨年とは違う農家へ協力を依頼し、面的に取り組みを拡げ、普及啓発活動にも取り組んでいます。各市町のHPにも活動状況を掲載しています。

宇和島市 広見川等農業排水対策協議会の取組

鬼北町 広見川等農業排水対策協議会に係る令和3年度活動報告

松野町 広見川等農業排水対策協議会の活動について

その中で、この取り組みを農家に広めるにあたって、石膏資材の経費負担をどうするかが課題になっています。石膏資材を入れることにより、食味や圃場の改良になるという農家へのメリットが証明されると良いのですが、もともとブランド米である三間米の食味検証結果にそういった効果を見ることはできませんでした。環境保全の取り組みを付加価値をして米の売価をあげて販売するという検討や、石膏資材の費用を補助する検討もあります。この課題解決に向けて、愛媛側と高知が協力する方向となりました。

四万十市の取り組み

四万十市は、以前からの取り組みである止水板配布や浅水代掻きの啓発を引き続き行っています。新たな四万十川保全への取り組みとして、河川環境改善に向けた岩石・砂利投入について協議を行い、高知県へ要望書を提出しました。

今後も協力関係を

広見川の濁水問題は、長年にわたり協議されながら解決方法がないままでしたが、石膏資材投入の取り組みを拡げていく新たな流れができつつあります。愛媛県だけの問題にせず、高知県も手を取り合い協力していく関係が非常に重要だと思います。今後もこの問題解決に向けた取り組みを、四万十川財団として伝えていきます。