岩城 千恵巳(いわき ちえみ)
ちえみさんの基本情報
・昭和35年(1960年)生まれ
・出身地:四万十市西土佐岩間
・好きなもの :花
いわき食堂とともに
ちえみさんは、結婚を機に四万十市西土佐にある「いわき食堂」を手伝うことになり、現在まで四万十川に来る人々を迎えている。
いわき食堂のはじまり
明治8年ごろ、いわき食堂の前身「いわき商店」として、川の近くで川を渡る人にお酒を出したりしていたようだ。その後、人の往来が盛んだったことから義母がタバコや文具、お菓子を売るようになり、昭和42年ごろ食堂となった。現在もタバコやお菓子があるのは当時の名残。
四万十川ブームで大盛況!
NHKの「土佐・四万十川~清流と魚と人と~」や映画「四万十川」などで四万十川ブーム到来。お盆はもうすごい人で、カヌーもものすごい数、きれいなほど川に人がいて、キャンプ客もたくさんいた。その時は、朝から晩まで食堂にもお客さんが来ていた。この大盛況で店舗内を拡大した。営業時間も、当時は義母が山師さんに朝早くから弁当を作ったりしていたが、ちゃんと時間を決めて8時から20時を営業時間にした。
ちえみさん曰く、「新しいものも考えてとよく言われるけど、なかなか・・・でもエンジンがかかるとできちゃう。」ということで、ブームの時に何か作ろうと「四万十うどん」を開発!「具がたくさん載っているのが良いと思うからたくさん具をのっけてみた。」と、本当にたくさんの具材が載ったうどんが完成した。アオサノリや川エビと季節の山菜が入り、今でも大人気メニューだ。
たくさんのお客さんとの出会い
食堂はいろんな人と出会う。
鮎が美味しかったのか、焼くのに30分かかるのに3回もお替りした人がいた。「80年生きてきてこんな美味しい鮎は初めて」と。嬉しい言葉をいただいた。
「美味しかった」、「また来る」と言われるとやってて良かったと思うという。
「私たちはたくさんの人との出会いで成長させてもらっている。天然の味で、私たちは手を加えることは何もない。これからも、ここに食べに来てくれる人がいるなら感謝の気持ちでやらなきゃいけないと思っている。」
屋形船のおじさんとゴリ丼
四万十川ブームの時は、まだ船舶の安全がうるさくなくて、網代に掘っ立て小屋を建てて住んでいるおじさんが屋形船をやっていた。食堂で屋形船に乗りたいというお客さんが来ると、ケータイもない時代だから、見えるように橋に旗をたてるとやってきてお客さんを乗せていた。朝は自作の歌をお客さん披露していたようで、元気におじさん頑張ってるなと思っていた。
30年前、そのおじさんに、中村ではゴリを食べると教えてもらった。西土佐ではゴリを食べる習慣がなかった。四万十川のものとしてゴリを出したらどうかと提案され、ゴリ丼を開発した。ゴリの仕入れも世話してくれて、今は自分たちでルートができたけど、当時はこれは美味しいのかと不安だった。
いわき食堂といえば・・・おでん、いなり
おでんは義母の時から始めた。練炭で火を起こして、ずっと継ぎ足しでやってきた。ちえみさんが大好きないなりとおでんは、代々味を引き継いできている。現在は電気式になったが、いわき食堂に行くと、いつでも美味しいおでんが食べられる。他にも、ちゃんぽんや四万十うどんは人気が高い。
これから
ちえみさんは楽しいことが好き。クリスマスには、目の前の橋にイルミネーションをしている。対岸に住んでいる隣人と周りを巻き込みながら、地元の人に楽しんでもらいたいと一緒に続けてきた。コロナ禍前は、点灯式でもち投げをしたり、ちょっとした料理を出したり、カラオケをしたりとみんなに楽しんでもらっていた。今年はたくさんの人の支援で、橋にイルミネーションをつけることができ念願がかなった。また来年もできるといいなと思っている。
得意な物は特にないとちえみさんは言う。しかし、長年四万十川に訪れるたくさん人々に美味しいごはんとやさしさを届け、ちえみさんに会って四万十川良いなと思った人々もたくさんいただろう。これからもどうぞよろしくお願いします。
いわき食堂
住所:四万十市西土佐津野川647-5
電話:0880-52-1172