DSC_8008ヒメユリ

●ヒメユリ(四万十川100名花の66)

山地草原に生え、7月下旬から8月中旬にかけて、開花します。太平洋戦争中、大半が犠牲になった沖縄の女学生からなる「ひめゆり部隊」の語源になった花です。そのために、花そのものは赤く色鮮やかな花ですが、哀愁を感じます。凄惨を極めた沖縄地上戦、硫黄島の戦い、そして開花期が広島長崎原爆投下の日、終戦の日と重なります。あの戦争の惨禍を忘れないよう、繰り返さないよう、平和のシンボルとして、毎年、ヒメユリの花は咲き続けています。(2013年7月27日撮影、高知県梼原町)

DSC_8326キツリフネ

●キツリフネ(四万十川100名花の50)

四万十川流域では、標高400m以上(津野町船戸)以北の渓流沿いに見られます。木陰で黄色い花が谷を吹き抜ける風に揺らぐ様には、いかにも涼感があります。流域には同じ仲間として本種のほか、ツリフネソウ、ハガクレツリフネの3種があって、うち、本種とハガクレはやや標高の高い山地に、ツリフネソウは里山に生えます。この中では、ツリフネソウが最も少なく、やはり高い山より里山の方が開発の対象になりやすいためと考えられます。(2013年7月27日撮影、高知県梼原町)

DSC_8356フシグロセンノウ

●フシグロセンノウ(四万十川100名花の53)

森林にも山地草原にも生えます。風雨に花が痛みやすく、前者の方が状態は良いようです。フシグロの名は、節が黒くなることによります。花は野生種らしからぬ色鮮やかなオレンジ色をしています。植物には例えば桜のように標高の低い(暖かい所)から咲き始めるものもありますが、本種は標高の高い(寒い)所から咲き始めます。(2013年7月27、28日撮影、高知県梼原町)

DSC_8451ヤマジノホトトギス

●ヤマジノホトトギス(四万十川100名花の96)

本来は秋の花で、四万十市では9月に開花します。撮影場所のように標高の高いところでは、既に秋の花が咲き始めています。四万十川流域では、上~源流域に行くほど多くなる傾向があり、下流域ではまれ。よく似たヤマホトトギスと比べると葉の幅が狭く、毛が多いことと、ヤマホトトギスでは花弁が反り返り、花が散房(スプレー)状に付きます。(2013年7月28日撮影、高知県梼原町)

DSC_8514オミナエシ

●オミナエシ(四万十川100名花の67)

日本の秋を代表する花で、低地で開花するのは早くて8月下旬頃。撮影時、一帯は雲に覆われており、背景が霞んでいます。「秋の七草」の一種として古来親しまれてきた植物ですが、本種のほか、野生のキキョウ、フジバカマ、カワラナデシコは、気候的要因(土壌の乾燥化等)、人的要因(開発行為等)により、日本各地で絶滅危惧種に選定されるほど少なくなっており、万葉の頃と比べて、花や景観はかなり変化しています。(2013年7月28日撮影、高知県梼原町)