いつもお世話になっている財団評議員の池田さんから突然のお電話。
「今度四万十町の植物調査にとさぶしの取材が来るから来ない?」
行きますよ、行きますとも!ということで、2つ返事で行ってきました。
調査実施当日、残念ながらお天気はあいにくの雨模様。かっぱを着て四万十町内の植物調査を行います。聞けば、参加しているみなさんは牧野植物園の植物調査ボランティアの方々だそうで、この日行われていたのは四万十町の野生植物分布調査でした。牧野植物園の鴻上さんと一緒に町内の植物を見て回ります。今回のお目当ては牧野富太郎が愛した花、バイカオウレンの分布調査。車に乗り込み、バイカオウレンをはじめ、どこにどんな植物があるのか調べるため、窪川を巡ります。
まず訪れたのは松葉川地区。車を止めて歩いてすぐのところにたくさんのバイカオウレンが咲いていました。バイカオウレンと一口で言ってもさまざまな種類があるそうで、この日はバイカオウレンとシコクバイカオウレンについて教えていただきました。バイカオウレンは2月頃に咲き、花弁がスプーン型なのが特徴です。一方シコクバイカオウレンは高い山に分布し、開花時期は6月頃と遅めで、花弁がコップ型なんだそう。この花弁(スプーン状のところ)に蜜がたまっています。さて、バイカオウレンといえば白くて小さい可愛い花というイメージがありますよね。でも実はこの白い部分は花ではないんです。先ほど言ったように黄色いスプーン状になっているのが花!白い部分は萼(がく)が変化したものなんだそう。そんな知識も教えてもらいつつ、植物調査を進めます。
川に向かって歩いている途中にもたくさんの植物が。なかには今回のはじめて四万十町で確認された植物もありました。貴重な植物は、スコップで丁寧に掘り起こして、新聞紙に挟んで、調査シートに植物の名前や発見した場所の名前、緯度経度等を書き込みます。ジュズネという根っこに数珠のようにこぶがいくつもある植物や、シロダモの仲間であるイヌガシ等のさまざまな植物が見られました。川岸に出ると、崖の壁面にたくましく咲くバイカオウレンを見ることができました。
昼食をはさみ、今度は仁井田方面へ。山の中へ入っていくと、コセリバオウレン、セリバオウレンを見ることができました。バイカオウレンは梅の花に似ていますが、こちらはそれよりもう少し華やかな印象。葉っぱがセリに似ていることが名前の由来なんだそうです。コセリバオウレンは残念ながら花がほぼ散ってしまっていましたが、奇跡的に1輪だけ花の残った個体が!丁寧に掘り起こして記録を行っていました。セリバオウレンは見ごろを迎えており、1つの株から3~4つのかわいい花が咲いていました。雨露に濡れてなんとも神秘的な光景です。
ここで、もう一つ豆知識。バイカオウレンもコセリバオウレン、セリバオウレンもオウレン属ですが、オウレンは黄連と書きます。名前の由来は漢字のごとく、根っこが黄色いから。下の写真はバイカオウレンですが、根っこが黄色いことが分かりますよね。
他にも紫のナンカイアオイや白いナンカイアオイ、リョウメンシダといった珍しい植物も多数見ることができました。似ているようで実は違う種類のものもあったりするので、本当に植物は奥が深いですね。なかなかよーく探さないと素人では見つけられないですが、少しずつ詳しくなって、足元の植物に目を向けてみたいなと思いました。みなさん、雨の中お疲れさまでした!
とさぶしでは鴻上さんの紹介として、今回の調査の様子も掲載されていました。よかったらそちらもぜひご覧になってみてください。