毎年、漁協関係者、行政を対象に、高知西南中核工業団地(宿毛市)の水質報告会が行われています。報告会に合わせて、四万十川に関する研修会も行われます。今年は、「四万十川流域での産業振興と環境との調和」と題して、(株)建設環境研究所のお二人が四万十川流域の状況等について講演されました。
四万十川を調査した際の記録、国交省の取り組みの説明、国交省のデータを使用した流域の状況についてわかりやすく解説してもらいました。国交省データは一般公開されていますが、図表にして説明してもらうと環境変動がよくわかります。
- 四万十川自然再生事業 コアマモ場の再生、鮎の産卵場づくり、ツルの里づくり
- 瀬が回復
- 砂礫河原の増加
- 鮎の産卵場拡大
- 河口部の塩化物イオン上昇
- 水温上昇
- 出水の減少
- BODの改善
- 鮎の産卵場への影響
下記の本の紹介と解説もありました。新しい土砂供給の必要性、置土、フラッシュ放流の効果など。四万十川で近年課題になっている河床環境の改善に関わる新しい知見でした。
流砂環境再生(ダムと環境の科学 4) 京都大学学術出版会
角哲也, 竹門康弘, 天野邦彦, 一柳英隆編著
https://pubs.research.kyoto-u.ac.jp/book/9784814004997
質疑応答では、中央漁協の大木組合長が、講演内容に概ね同意を示すとともに「潮汐の影響が顕著になってきた。また、鮎の産卵場が陸になるほど水が少ない。良好な産卵場がなくなり、このままでは鮎がいなくなってしまう。汽水域の河床状況の変化も感じる。」と話しました。
高知中核工業団地の水質は、様々な検査が通年行われていますが、今回も問題なしと報告がありました。本会の趣旨は工業団地の水質報告ではありますが、四万十川の全漁協の皆さんが集まり意見交換ができるまたとない機会となりました。