岡村 猛(おかむら たけし)※通称「タケさん」

タケさんの基本情報

・昭和29年生まれ

・四万十市西土佐津野川出身

・大人塾(エビ漁)の講師

これまでの川との関りを教えてください

当時、家のすぐ前を流れる津野川川は、今より水量が多くて、アユやウナギもたくさんのぼって来ていて、小学2~3年生までそれを捕ったり、そこで泳ぎの練習をしました。

現在の津野川川。昔と比べて水量が少なくなったと言う。ヨシが覆い茂っていた。

そして4年生になったら目黒川へデビューしました。夏休みは目黒川でカナツキとアミを持って、津野川から津賀まで3~4km上りながら、アユやエビを捕って1日中遊びました。たくさん捕れましたが、捕って戻る頃には全部腐っていました(笑)。それが日常でした。

目黒川。この辺りから3~4kmほど上りながらアユやエビを捕った。

5~6年生になると四万十川が遊び場になります。四万十川を横渡りできたら1人前でした。みんなが”てんぽー(危険)”な事ばかりして流された人もいました。深い淵に行ってウナギの穴釣りもしました。ウナギは今よりたくさん捕れました。四万十川は今よりキレイで、いろんなサイズの石がたくさんあって、石と石の間に手を突っ込んでカマツカとかカジカなどを捕りました。カマツカは白身で焼いて食べるととても美味しかったです。

夏の遊び場は川でしたが、冬は山で遊びました。ヤドリギの実を捕ったり、クビッチョといって、鳥を捕るための仕掛けで、ツグミやヒヨやヤマドリを捕って食べました。とても美味しかったです。山を探検して、尾根を越して降りた所が別の集落で帰るのに苦労した事もありました。

中学生になると卓球部に入りました。人数もたくさんいて楽しかったです。あと覚えている事は、親の手伝いをしました。シイタケを栽培するための榾木にコマ入れをしたり、田んぼで歩行型の耕運機を使って田おこしをやりました。

地元の高校を卒業した後は、郵便局に勤めました。津野町、黒潮町、旧大正町、江川崎などで勤務しました。働いていた期間は忙しく、遊ぶ暇がありませんでした。退職した後に川舟を購入しアユのフチオキ漁を始めました。多い時は一晩で30~40kg獲れました。後は、エビ漁をやりました。

主体的に取り組んだ稲作と趣味の鉄旅

ご自宅から見える田んぼ

稲作の手伝いはずっとやっていましたが、40歳くらいから主体的に取り組み始めました。最初は3反くらいでしたが、だんだん人から頼まれるようになって今では1町弱くらい作付しています。田んぼはしんどいけど、身体が動く間は頑張ってやりたいです。

暑い日だったが、これから田んぼの草刈りに行くとの事。

趣味は鉄旅(鉄道旅行)です。寝台特急北斗星には10回は乗りました。夫婦2人でお酒を飲みながら旅ができるのが良いです。オホーツク海の漂流を見たり、福島の只見線では電柱まで積もった雪を見ました。新潟では吹雪で1日立ち往生した事もありました。帰りは北海道から在来線を使って3日間かけて江川崎まで帰って来た事があります。

寝台特急北斗星  画像の出典:パブリックドメイン(Wikipedia)

取材を終えて…

タケさんと言えば、財団企画の大人塾の川エビ漁の講師。今年度もお忙しい中、ニコニコしながら無理なお願いを聞いてもらいました。ありがとうございます!

今回の取材で、子ども時代に思う存分、川で遊んだお話が聞けました。遊びを通して川の楽しさも怖さも熟知していくことが大切なんだなと感じました。自然の中でしっかり遊んだ経験は、有事の際にも非常に役に立つ事だろうと思います。そんな経験が得づらくなってきた現代の子ども達を少し心配されていました。あとタケさんにおすすめの書籍を教えて頂きました。タケさんの小さい時の遊びが全部、載っているとの事でした。是非、読んでみましょう!

四万十川 第1部: あつよしの夏