竹細工講座に参加しました。「メカイ」という四ツ目編み籠をつくります。

今回の講座は竹ヒゴづくりからです。全部で3日間ありますが、初日は竹の伐採とヒゴができるまでの工程を一通り学びます。講師はお馴染みの中川先生です。

講師の中川康之亮先生

まずは竹の種類の見分け方から教えていただきました。竹は大きく分けて孟宗竹、真竹、破竹の3種類あり、その見分け方を説明していただきました。

真竹の皮。斑点模様がある。
  • 孟宗竹…節の輪が1本。全体的に白い粉を吹く。特に節の下。肉厚。
  • 真竹…節の輪が2本。上の節の輪が丸みがある。幹が全体的に青々している。白くなっている場合もある。タケノコの皮が残っている場合は、斑点模様がある。
  • 破竹…節の輪が2本。2本とも角ばっている。幹が全体的に白い。

竹細工には、真竹を使います。タケノコの皮がついているような1年目のものは避けます。2年目から使えて、3年目がベスト。真竹は孟宗や破竹に比べて少ないが、群生しているので、真竹林を見つけると良いそうです。

スタッフ中野が挑戦!

続いて、竹の伐採。今回は谷側に倒して、元から引っ張りあげました。集材は、下に出す方が楽。上にあげるのは男性でも一苦労しました。

続いて、120cm(3節分)に玉切りします。節が2つ収まるように調整します。ノコギリは目の細かいものを使い、回しながら挽いていきます。ここで一旦、スポンジで水洗いし、汚れを落とし、綺麗に磨き上げます。

2重になった節のウラ側(下側)の角ばった節の面取りをします。「節繰り(ふしくり)」といいます。

ここで半割します。竹包丁の安全な使い方などのレクチャーがありました。45度の角度で少しだけ割れ目を入れ、ちょうど半分の所に刃先を入れ、割っていきます。なるべく竹包丁の元の方で割っていきます。

半割した竹をさらに指定の幅8.3mm(仕上げ巾8mm)に、コンパスでマーキングして、少しだけ割れ目を入れます。その後、半割した竹の端から4つの目の割れ目か8つの目の割れ目の中心に近い方で割っていきます(分かりづらいですね…)。包丁の使い方のコツや節を越える時の注意点も説明していただきました。包丁を捩じらないように回転させながら、割っていきます。曲げた方が細くなるので、調整しながら割ります。

だんだんヒゴらしくなってきました。次は「荒剥ぎ(あらはぎ)」です。仕上がりの厚みの2.5倍ほどの厚みで皮と身の間を削いでいきます。使用するのは皮側です。仕上がりの厚みが0.7~0.8mmなので、2.5~3.0mmで荒剥ぎしていきます。最初は刃を入れますが、その後は、「 ダガネ( 竹包丁の付け根の部分 )」で剝いでいきます。節を越える時に薄くなりがちなので、左手でしっかり押さえて、ゆっくり慎重に「パキッ」と音がするまで刃を入れ、厚くなっている方を曲げながら剥ぎ進めます。

仕上げの厚みは0.8mmです。その厚みを目指してもう一度、皮と身の間を剝がしていきます。できるだけ薄く仕上げると、後の作業が楽になります。

ここからは巾取器(はばとりき)を使って調整していきます。上の写真は指定の巾(8mm)に仕上げているところです。竹の両端から削りカスが出てくるように調整しながら、巾をそろえていきます。

次に、銑台(せんだい)にかけ、厚みをそろえていきます。

最後に、皮側を下にして、面取包丁で面取りをします。ここまでの行程のほとんどが、「ウラからモトへ ー 竹の先っぽのほうから根元の方に向かって ー 」が基本ですが、この面取りだけは「モトからウラへ」進めていきます。

専門用語の解説…ウラ、モト、皮、身
節の構造の説明

中川先生のお話で印象に残っているのが、昔は器用な農家さんが農閑期に竹細工をしていて、男性が竹ひごを作り、女性が編み仕事をしたそうです。やりがいのある副業になりそうですが、現在ではあまりお金にはならないようです。伝統や文化がそうやって消えていくのは残念ですね。職人さんが、誇りを持って仕事ができる社会であって欲しいです。

財団内では、この竹ヒゴづくり、「1週間ぐらいずっとやりたい」とか「雑念が消える」など大変好評です。確かに、黙々と作業をしていると雑念が消え、心が洗われていくようにスッとします。職人さんの境地が少しだけ垣間見えたような気がします。魅力的な竹細工の世界、今後もできる限りお伝えしていきます!

来週は、この竹ひごを用いて、メカイ(4ツ目編みかご)を編んでいきます。