第16回いい川・いい川づくりワークショップが石川県手取川流域で開催されるとのことで、行ってきました。財団は今回で4回目、昨年は行けなかったので2年ぶりの参加です。大会自体は28日と29日の2日間でしたが、どうせなら現地も見たい!ということで、前日のエクスカーションにも行きました。
 さて、高知から石川までのアクセスはとてもいいとは言えません。飛行機一本では行けませんし、新幹線に乗るのも一苦労、、、。お金もかかるし時間もかかる、、、スタッフ3人で行きたいし、、、ということで、今回は車で行くことに。片道7時間半。エクスカーションは13:00開始だったので、朝4時に四万十を出発。もう着いた時点でヘトヘトです(笑)。 そんなコンディションではありましたが、しっかり現地を視察してきましたので、わたくし羽方優紀がご紹介します。

 今回私たちが視察したのは、小松市を流れる梯川(かけはしがわ)。舟運で栄えた安宅(あたか)地区の街並みと、住吉神社、梯川を堀にしていた小松城跡、そして梯川分水路を巡りました。まず最初に向かったのは安宅地区です。安宅地区では地元ガイドの方に案内していただきました。 

 梯川の河口に位置する安宅地区は、北前船の廻船業で栄え、たくさんの物資が集まる船問屋がたくさんありました。今でも立派な屋敷がいくつも残っており、伝統的な街並みを見ることが出来ます。また、船荷を運ぶために河岸から船問屋まで整備された道「河道(こうど)」も残っており、かつての生活を感じることができます。今回は瀬戸家にお邪魔し、蔵を拝見させていただきました。蔵の中には江戸時代の調度品など、栄えた時代に集められた様々な品が展示されていました。

 次に訪れたのは同じく安宅地区にある住吉神社。船乗りたちが航海の安全を祈願していた由緒正しい神社です。安宅と聞いてピンとくる方もいるかもしれませんが、実は歌舞伎で有名な勧進帳の舞台である安宅の関があったのがこの場所だとされています。源義経と弁慶が登場する有名なお話ですね。巫女さんが見事な口上で安宅関を説明してくれますので、ぜひ聞いてみて下さい。

 安宅から小松市中心街に移動して訪れたのは小松城跡の公園です。小松城は一向一揆が築いた城と考えられており、加賀前田家3代の前田利常が隠居の城として大改修を行ったそうですが、明治のころに壊されてしまい、今は本丸の櫓台が残るのみとなっています。そんな小松城跡を今回は小松市立博物館長の津田さんに案内していただきました。小松城は梯川の蛇行をお堀に活用しており、「浮城」とも呼ばれるほど水に囲まれたお城だったそう。蛇行による氾濫が多かったため、河川改修で流路も変わっているほか、お城の敷地も公園や住宅街、高校になっており、お堀も埋められているので面影は残っていませんが、唯一残っている櫓台を視察。切り込みはぎの美しい石垣で、地元の凝灰岩と金沢から持ってきた安山岩で作られているそうです。

 小松城からバスで北東に移動し、最後に訪れたのは小松天満宮です。この神社、ちょっと変わった敷地になっています。実は、治水のため梯川の川幅を広げる改修が行われていましたが、川沿いにある天満宮が支障になりました。普通であれば天満宮を移築することで対応するかと思われますが、天満宮は先ほど行った小松城の鬼門の位置にあり、ここは動かしてはいけないという地元の想いがあったようです。そこで神社をぐるっと囲う分水路を作って流れを変え、治水整備を行ったとのことでした。治水と地域の文化の保存を両立しようと努力した取り組みで、とても興味深かったです。

 今回の視察で、文化や歴史、河川整備といった幅広い視点で梯川を知ることができ、とても勉強になりました。やっぱり川のことを知るのは楽しいですね。とは言え今回の視察でだいぶ歩いた(他の参加者さんによると万歩計は1万歩越えだったそう)ので、終わったころには四万十チームはもう疲労困憊。笑 もう飲みに行く気力すら残ってませんでした。さてさて、明日からの大会本番はどうなることやら、、、。