東京のど真ん中、中央区にある同志社大学東京サテライトキャンパスで開催された「川ごみサミット」に参加してきました。市民団体や個人、行政担当者、民間事業者、研究者などが集い意見交換を行い、現状分析と流域保全のあり方を議論しました。

さて、今回のサミットで取り上げられたメインテーマに、農業で使われているプラスチック製の被覆肥料カプセルと人工芝由来のマイクロプラスチックがありました。

プラスチックの被覆肥料カプセル

問題が発見されて20年以上が経過した被覆肥料カプセルについては、現場レベルでの改善は実現されていないと市民側から指摘がありましたが、現在、どういった対策が講じられているのか、農林水産省から発表がありました。

まずは「肥料袋への表示」です。肥料法により、令和4年11⽉から、被覆肥料の「被覆原料」が表⽰されることになりました。これに対して、市民側からは「肝心のカタログには表示されていない。農家はカタログを見て購入する。」と指摘がありました。

また流出防止技術として、農家が田植え前に行う「浅水代搔き」と「捕集ネットの設置」を紹介していましたが、市民側からは、「3年間圃場を回りましたが、浅水代搔きの実施は3件、ネットの設置確認は0件」だったとして「実施されない対策は対策にあらず」と厳しい指摘がありました。また、回収義務をメーカーに求める声もありました。

人工芝由来のマイクロプラスチック

河川や港湾の浮遊マイクロプラスチックを採取・調査した2020年の国内調査では、120地点中112地点でマイクロプラスチックが採取され、そのうち人工芝破片が23%(重量比)を占めたそうです。そして、人工芝1本は約1万個のマイクロプラスチックに一面では約1億本・・・、といったようにネズミ算式にマイクロ化するという指摘もありました。

こうした問題に対して、今回のサミットでは決定打につながるような保全方法を見出す事は出来ませんでしたが、各機関がそれぞれ現状や問題を共有できた貴重な機会になったのではないかと感じました。

最後に今回のサミットの主催者「全国川ごみネットワーク」さんとの関係性を少しだけご紹介。川ごみネットワークさんが企画している『水辺のごみ見っけ!全国水辺のごみ調査』に四万十川財団も協力しています。

四万十川財団は年に8回、四万十市平野地区の海岸で清掃を行っていますが、その時に出たゴミの結果を報告し、この調査に協力させていただいております。実際に海岸清掃をやってみるとよく分かるのですが、浜に打ち上げられているゴミの中に、川から流れて来たであろう、たくさんのペットボトルやレジ袋やプラスチック製のカップ型飲料容器があります。

全国川ごみネットワーク HPより

ちなみにですが、『水辺のごみ見っけ!全国水辺のごみ調査』から導き出された推定では、国内河川にはペットボトルが4,000万本もあるそうです。マイクロプラスチックもそうですが、こういったゴミ問題、どうやって解決していったらよいのでしょうか。

今回のサミット会場だった同志社大学の創始者・新島襄の言葉が飾られていて、サミットの締めの挨拶でも紹介されていましたので写真を撮ってきました。ゴミ問題も少数の英雄が解決してくれるのではなく、私達の意識が重要なのだなと思いました。

当日の報告は全国川ごみネットワークHPでも報告されていますので、そちらもぜひお読みください