浦宗 悠華(うらむね ゆうか)
浦宗 悠華さんの基本情報
・平成生まれの動物大好きっ子
・四万十市出身
悠華さんと愉快な仲間たち
四万十川流域には、エッジの効いたリバマスさんがいる。悠華さんもその一人だ。馬2頭と共に暮らし、四万十川を活かした馬牧場を営んでいる。
そもそも馬なんて個人で飼えるものなのだろうか。おおごとだと感じてしまう。悠華さんは「昔は、移動手段や労力として馬が普通にいた」という。悠華さんが飼っている馬は、ヨナグニウマという沖縄の在来種で、競馬場などで見るサラブレッドと比べると随分小さく、人懐っこくて親しみやすい。
「競馬や馬術と言うと敷居が高いイメージがありますが、ククルとアヅキはとても親しみやすい馬達です。馬ってこんなだよ!って、ふれあってもらいながら、楽しさを共有したり、馬と暮らす良さが伝わったり、馬そのもののイメージが変わるとそれが一番嬉しい。」と話す。
そんな悠華さんだが、やはり小さい頃から動物が大好きで、当時飼っていたコーギー犬と一緒にいつも川で泳いだり、山を散歩していたそうだ。小学4年生の時に畜産科のある幡多農業高校に訪れた時には「高校はココにする!」と決めて、幡多農に入学し、その後、神奈川の農大に進学する。
馬のことが勉強したくて大学2年生の夏休みに訪れた沖縄で転機を迎える。ククルと運命的に出会い「これだ!」と直感した。「幡多農時代にも馬(サラブレッド)はいたけど、大きすぎて怖かった。」そうだ。馬は群れの生き物なので「世界に一人だけではさみしい」と、その後、アヅキを迎える。
「好きな事に出会えて幸せ!」と言うが「人生が変わってしまった」とも笑顔で話す。奨学金を借りていたので、就職先は特に動物関係という訳ではなく、少しでも給料の良い「普通のところ」を考えていた。しかし、馬がいる生活では、都会で暮らすことも「普通のところに就職する」ことも難しい。まるで「結婚や子育てのよう」に良いことも悪いこともやってくる。幸せ、ばかりではなく、しんどいことも、時には悲しみに暮れることもある。”動物と生きる”とはそういうもので、それらも含め、馬たちと一緒にいなければ起こり得なかった経験を人生の糧にしていきたい。
また、死は身近にあり、自分の死も明日やってくるかもしれない。そう思ったら、やりたいことをやらないと。それも動物たちが教えてくれた。
馬との暮らしは並大抵な事ではないが、それでも間違いなく人生をより豊かなものにしてくれている。悠華さんに動物を飼う素晴らしさを聞いてみた。
「人間に足りない資質を持ち合わせており、まるで人生の師匠。動物は、何者かであろうとせず、食べて寝るだけで十分幸せでいる。人間にはそれが難しい。過去を悔んだり、未来を憂う事もなく、ただひたすらに今を生きている。」
四万十馬牧場はロケーションや体験メニューも普通ではない。四万十川本流のほとりに広々とした牧場があり、厩舎は仲間に協力してもらいながらDIYで建てたそうだ。
牧場から1分も歩けば、河原に出る事ができ、外乗りトレッキングが楽しめる。そして、夏場であれば、馬に乗ったまま、川の中に入ったり、尻尾に捕まって泳ぐ事もできる。大人よりも子供の方が柔軟性があり、すぐに乗れるようになるそうだ。そして、親や大人には普段見せない、その子本来の姿を馬が引き出してくれることもあるそうだ。四万十の自然も相まって癒しをもたらしてくれるのかもしれない。そういった資質も馬の方が人間のはるか上をいっているのかもしれない。
ちょっとだけ牧場を覗いてみたいという方は、西土佐中半地区の右岸側(国道441号線の裏道)に牧場があるので、ドライブがてら通ってみると良いかもしれない。馬が2頭いるだけで風景が変わり、流域によく馴染んでいる。
四万十馬牧場では、ボランティアも募集している。馬や動物との暮らしに興味のある方は声をかけてみてほしい。悠華さんの生き方と動物たちから得るものは大きいだろう。