四万十川流域文化的景観連絡協議会(通称:文景協)では、文化的景観を地域内外の多くの人に知ってもらう普及啓発事業に取り組んでいます。今回は、津野町の芳生野集落にて、早瀬の一本橋をテーマに、まち歩きと消しゴム判子づくりを体験するワークショップを開催しました。
まずは、吉村虎太郎邸に集合し、津野町の学芸員の田中さんから、津野町の文化的景観と、芳生野地域の風景と歴史について説明していただきました。


説明の後は、実際に芳生野の風景を見にいきます。ここでは、地元ガイドで四万十リバーマスターの豊田庄二さんにガイドをしていただきながら、早瀬の一本橋と諏訪神社を訪れました。早瀬の一本橋は沈下橋の原型とも言われ、増水時には流れてしまう(橋と大木をワイヤーでつないでいるため流失はしない)ことから「流れ橋」とも言われます。石積みの橋脚に板を架けただけの橋なので、渡るのにちょっと勇気がいる方もなかにはいるかもしれません。笑 地域で管理し守ってきた、芳生野のシンボル的な存在の橋です。
一本橋を渡った先にあるのが、諏訪神社。この神社では、毎年11月19日に津野山古式神楽が奉納されます。奉納の際には多くの観客やカメラマンが駆け付け、炊き出しが出るなど集落全体が盛り上がる、大事なお祭りです。昔から芳生野の人々は一本橋を渡って諏訪神社に参拝しに行っていたといいます。






もう一度一本橋を渡って、吉村虎太郎邸に戻ります。次は豊田成寿さん(実は豊田庄二さんの息子さん)に教えてもらいながら、早瀬の一本橋の消しゴム判子を作ってみます。文景協メンバーがこういう体験をするのは初めてだったので、たまにはこういうのもいいですね。シンプルな作業かと思いましたが、木目の表現など意外と難しくて細かい作業もあり、皆さん集中して取り組んでいました。私自身、彫刻刀を使うのも10数年ぶりで、懐かしい気持ちで判子づくりを楽しみました。出来上がった作品も人によってそれぞれで、お花の飾りを入れた人、橋を渡る人物を入れた人、アマゴを泳がせている人など、その人の個性がよく出ていたのも面白かったです。
さっき見た風景を消しゴム判子で表現するというのは、景観の理解に繋がりやすいのではないかと思います。





課題も見えたイベントでしたが、こういったレクリエーションの要素を含めて風景や四万十川ならではの暮らしを知ってもらえるようなイベントを今後もブラッシュアップさせながら、開催していきたいと思います。