高知大学の今城雅之先生のアユの疾病報告会に参加してきました。主催は四万十川漁業連合会、四万十川上流淡水漁協、四万十市、四万十町から成る『四万十川漁業振興協議会』。

今回の報告会では、主催者が毎年提供しているアユがどんな風に解剖されているのか、その様子を実演してくださいました。一番解剖が上手だという学生さんがその腕前を披露してくれました!小さい子アユも見事に捌いていました。

今回、今城先生がお話くださったのは大きく分けて3つ。

①四万十川東部漁協エリアにおける3年間の3大疾病(冷水病・温水病・ボケ病)の感染傾向

②四万十川の産卵場エリアにおける5年間の3大疾病の感染傾向

③四万十川東部漁協エリア・同産卵場エリアにおける2年間のククラニダエ線虫の寄生傾向

まず①について。東部漁協エリアの10地点で採捕したアユ全てについて、全長と体重を計測し、データ化したグラフを見せていただきました。十和地区の広瀬と三島のアユが大きいことが明らかになりました。

さらに天然アユと放流アユを区別し、その肥満度を調べた結果、気になる事が判明しました。芳川川と相去川の放流アユが瘦せているのです。8~9割のアユが冷水病やボケ病に感染していたそうです。何らかのストレスによるものではないかとのことでした。天然アユの方も通常肥満度を下回っていますが、放流アユの方がその傾向が顕著に出ていました。

漁協組合員からは「芳川川も相去川も綺麗な支流なのにどうして?」という質問がありましたが、はっきりした原因は分からないそうです。今城先生も、現地に行って調査してみたいとおっしゃっていました。

東部エリアのまとめは以下の通り

・通年でのアユ育成について疾病の影響はない
・冷水病(ボケ病)によるアユ育成の一時的な影響はある(放流アユ限定)
・冷水病の流行規模は温水病やボケ病よりも小さい
・芳川川と相去川にはストレス要因が存在する

次に②の産卵場エリアにおける5年間の3大疾病の感染傾向はどうだったのでしょう。

冷水病に関しては、過去5年間で2024年は2番目に小さい流行規模だったそうです。温水病に関しても、流行規模は小さいと推定できるそうです。またエロモナス病も感染率が激減したとのこと。

最後に③のククラニダエ線虫について。ククラニダエ線虫は、アユの肝臓に寄生し、目視できる大きさだそうです。それを大学生が、肉眼観察で数え上げるのだそうです。大変な仕事ですね。

調査の結果、例年、寄生数が多くなる産卵時期を除くと、特定時期に寄生数が多い傾向はないそうですが、寄生数が多くなる「場所」は存在し、十和地区広瀬、大正地区大奈路、中村地区小畠、佐田が該当するそうです。それから不思議なことに、汽水域にいる遡上アユには寄生が全く見られないそうです。いったいどこで寄生されるのでしょうか。

大変勉強になりました。ありがとうございました!