●シラネセンキュウ(四万十川百名花の86)
名は、日光白根山に多いことから、センキュウは生薬名に由来します。四万十川では、津野町新田、梼原町中心部以北の渓流沿いで普通に見られます。高さ80cm~1mにもなる大型の植物で、同じセリ科のシシウドが豪壮で男性的なのに対して、和風で女性的な感じがします。(2013年8月29日撮影、愛媛県久万高原町)
●ハガクレツリフネ(四万十川百名花の90)
葉の下に花を付けることから、「葉隠れ」の名があります。四万十川には、ツリフネソウの仲間が3種自生していて、やや標高の高い渓流沿いで、最も普通に見られます。ただし、そはやき植物(本州の東海以西~紀伊半島~四国~九州の太平洋側に分布)の一種で、国内の分布域は広くありません。今年の高知は夏、猛暑、乾燥が続いたため、例年と比べ、花数が少なく、状態も悪くなっています。(2013年8月29日撮影、愛媛県久万高原町)
●ムカゴトンボ
常緑樹林帯の開けた(明るい)場所に、極めてまれに生える植物。適度に湿度のある土壌で、崩壊地のような、あまり他の植物が生えていない場所を好みます。極めて不安定な環境に生えるため、元々、個体数が少なく、また、ちょっとした開発行為で、たちまち絶滅してしまう危険があります。名は、花をトンボに見立てたもの。
(2013年8月31日撮影、高知県西部)
●トラノオスズカケ
常緑樹の林縁に生え、茎は長さ30~50cm程度で、垂れ下がるようになります。高知県絶滅危惧種。8月~9月頃、紫色の円錐状花序をたくさん付けて、大きな個体ほど見事になります。今夏は高温乾燥が特にすさまじく、花つきや状態があまり良くありません。
(2013年9月1日撮影、高知県四万十市)
●シノノメソウ
深山にまれに生える植物。国指定の絶滅危惧種。二年草(開花、結実後、枯死する)という性質のため、結実前の除草など、環境の変化に非常に弱いところがあります。同じリンドウ科のアケボノソウに似ますが、葉は卵状楕円形(アケボノソウ:卵状披針形)で、草丈も30cm程度(アケボノソウ:80cm程度)しかありません。高知では、ここ数年、高温乾燥化の傾向が強くなっており、かろうじて現存している感があります。
(2013年9月1日撮影、高知県西部)