●レイジンソウ(四万十川百名花の76)
四万十川では、標高1000m以上の林縁や山地草原で見られます。特に、石灰岩地に多い傾向があります。名は雅楽の奏者、「伶人」がかぶる冠の形に見立てたもの。学(属)名は、Aconitum(アコニツム)で、トリカブト(有毒植物)と同じ仲間になります。花は赤紫色で個体によって濃淡があり、トリカブトと比べると葉の切れ込みが浅く、花は完全に展開しても、トリカブトのつぼみの状態くらいにしかなりません。(2013年9月14日撮影、愛媛県西予市)
●カワミドリ(四万十川百名花の47)
高知県では、四万十川源流の津野町船戸(四国カルスト)で唯一、自生が確認されています。ただし、四国カルストの愛媛県側、北斜面には多く見られます。冷涼で、やや多湿な場所を好み、花や葉には、ラベンダーの香りをまろやかにしたような芳香があります。花、姿、香りとも、自生在来種というより、西洋のハーブのような印象があります。
(2013年9月14日撮影、愛媛県西予市)
●カリガネソウ(四万十川百名花の77)
美しい青色と独特な形の花が、印象的な植物。四万十川での自生地は少なく、上流域から源流域にかけての沢沿いなど、幾分、湿った場所に点々と見られます。以前は下流域の水田周囲でも見られましたが、近年では高温乾燥化の影響もあり、絶滅しています。花とは対照的に葉には悪臭があり、気分のすぐれない時は、嗅がない方が良いでしょう。(2013年9月14日撮影、愛媛県西予市)
●アキノキリンソウ(四万十川百名花の69)
秋の高原に多い植物。草丈30~80cm程度で、総状に、黄色い花をたくさんつけます。名は、秋に咲くキリンソウの意ですが、キリンソウはベンケイソウ科、本種はキク科で全く異なる植物です。この植物は、かつて20年くらい前には、沿海地、里山など、どこにでも見られました。現在では、かなり標高の高い所までいかないと、見られなくなっています。
(2013年9月14日撮影、高知県梼原町)
●オオマルバノテンニンソウ(四万十川百名花の46)
標高1000m以上の渓流沿いに多く見られ、石灰岩地に多い傾向があります。名は、テンニンソウと比べて、葉が丸く大きい広卵形であることによります。テンニンソウの花が淡黄色で地味なのに対して、赤い花を咲かせることから、一度見た後、再度、振り返って見るほど美しいという意味で、別名、トサノミカエリソウとも呼ばれています。大陸と陸続きだった頃の遺存種(そはやき植物)の一種。(2013年9月14日撮影、愛媛県西予市)