12 アマゴ
アマゴ・サツキマス:サケ科
Oncorhynchus masou ishikawae
寒いの大好き渓流の女王
基本情報
【全長】20~25㎝
【生息地】静岡県以西の本州太平洋側、四国、大分以北の九州瀬戸内側の源流~渓流。四万十川では、本流・支流限らず源流~渓流。
【体】アマゴはサケ科でサツキマスと同種で、河川にとどまったものである(陸封型)。サツキマスは海へ降りて行ったものである(降海型)。サケ科特有のあぶら鰭も見られる。幼魚時は体側に暗色のパーマークが多数並ぶ。背側~体側にかけて朱色の小斑が散在。成長に伴いパーマークは薄れていく。よく間違われるが、ヤマメとアマゴは亜種関係で簡単に言うと親戚。四万十川にはヤマメはいないと言われている。
【生態】上流域の比較的冷たい20度以下の水を好む。河川の淵の中心部、比較的冷たい20度以下の水を好む。河川の淵の中心部からかけあがり部に生息。樹木などの影ができ(オーバーハング)、餌が豊富なところにいる。また、餌を求め、淵などでは争いが起きる。表層部の餌が豊富な位置から優位な個体が位置していく。成魚は、定着性が強く、移動は産卵と増水の時。産卵は10~11月ごろ水温14度以下でスタートし9~10度で活発になる。メスが砂礫を掘って卵を産む。2年で成熟し、3~4年生きる。
【食性】流下してくる昆虫類を食べる。小魚、魚卵など肉食。
河川整備が生息地を奪います。
河川整備で河床を平坦にすると、アマゴの生息場がなくなる恐れがある。
アマゴには水中の溶存酸素が必要で、水の落ち込みがなくなる平坦化工事を行うと、曝気が不十分で空気が入りにくくなる。
また、S字カーブの蛇行は重要。それによってできた淵で餌や休息場を得るのだ。河川の上にかかった樹木などの木陰は、餌となる昆虫が補給される。
河川整備で平坦化、樹木の伐採はアマゴにとって住みにくくなるのだ。
他にも、アマゴは産卵期にさらに奥の支沢に入っていくため、砂防堰堤の設置は再生産に重大な負荷をかける。
人間の生活を便利にしていくために、アマゴなどの生物に負荷がかかっていることを忘れたくない。
四万十川の在来種がいます!!!
アマゴは日本の在来種であるが、四万十川には特有の在来種がいるようだ。
特徴は、口が丸く、パーマークが幅広で少ない、朱点が少ないことだ。とてもきれい。
近年、養殖種の放流によって在来種が減少してきた。ほとんど見かけることがない非常に珍しいものになってきている。
この在来アマゴを増殖しようとしている人もいる。
四万十町希川の土居明さんだ。奥さんの実家である大正中津川にて、初めて在来アマゴを発見し、これは守らなければいけないと思い、一から自分で在来種の増産を20年近く行っている。
ほかにも、「よみがえれ四万十源流の会(清流通信163号参照)」でアマゴを守る活動が行われている。
このような地道な活動から、四万十川が守られているのだろう。
*四万十川流域では「アメゴ」と言われる。
≪参考資料≫
・川の生物図典 財団法人リバーフロント整備センター
・土佐の魚のすべて 高知新聞社
・四万十川の魚図鑑 いかだ社