オオクチバス
サンフィッシュ科
Micropterus salmoides
これが噂のブラックバス!!!
基本情報
【全長】
50㎝
【生息地】
北米原産。1925年、神奈川県芦ノ湖を皮切りにルアーフィッシング対象魚として無秩序な放流によって日本全国に広まる。
四万十川では1980年代、中流域で放たれた。今では様々なところで目撃される。支流の中筋川が高知県ではバス釣りで人気がある。
池沼、河川の淀みなどに生息する。止水域を好む。
広大な緩流域ほど繁殖しやすいが、止水域がない河川でも堰やダムで生息が可能。
【体】
体型はスズキに似ている。くすんだ黄緑色、体側に不規則な縦条が走る。非常に大きくなり、琵琶湖では2009年に世界記録の10.12kg、73.5㎝の大物が釣れている。
【生態】
仔魚は孵化後1週間で巣を離れオスの保護のもとで水草地帯に群泳する。2~3㎝になると群れを離れ深みに移って単独生活を送る。
5~7月が産卵期であり、オスが直径50㎝程のすり鉢状の穴を掘り産卵床をつくる。メスは複数のオスの産卵床に訪れ、総計100~1万個ほどの卵を産む。
【食性】
典型的な魚食。食欲旺盛で在来種を根絶やしにするほどの生態系崩壊を招いている。オオクチバスを含めたブラックバスの問題は深く様々な議論がある。
2005年1月にブルーギルとともに特定外来生物種に指定された。
【味】
白身で美味。老化防止効果のあるタウリンが淡水魚としては豊富に含まれている。日本では芦ノ湖で高級魚として扱われる。中国や原産のアメリカでも養殖がおこなわれ食用とされている。
バス釣りの人気魚と害魚としてのハザマ・・・
ブラックバスと聞けば、どんなイメージを持つだろう。バス釣りをイメージするか生態系を壊す害魚としてイメージするか?
ブラックバスは大きく分けるとラージマウスとスモールマウスがいる。ラージマウスを代表するのがオオクチバス。
バス釣りは釣り好きにとっては面白くてたまらない釣りだという。
いろいろな釣りがある中で、バスフィッシングは特別だ。
ルアーの種類はもっとも多く、そのアクションやテクニックもバリエーション豊か。
アウトドアでの謎解きをするかのように、バスの居場所を探し、バスの動きを読み、これらを推測した上でルアーの選択やポイントの絞り込み、釣るためのアクションをルアーに与える。
これ以上面白い釣りはない!
自分で探し出したバスを、自分で選んだルアーで釣った感動は、ほかのアクティビティにないものだ。
lure life より引用
http://www.lure-life.com/blackbass/special/1308_seasonal/basic.html
ブラックバスは肉食性の魚で、小魚や甲殻類なを好物としており、水中の物陰に潜んで餌を待ち伏せしたり、時には小魚を浅瀬に追い込んで捕食する。その為、ルアー(疑似餌)にも積極的に食らいつき、その強い引きや、高いゲーム性も相まって、バス釣りは人気の釣りジャンルの1つになっている。
四万十川では支流の中筋川でよく釣れるため、バス釣でには有名な川である。
その反面、ブラックバスは在来種を捕食し生態系のバランスを崩す面もある。
もともとは、1925年に赤星鉄馬氏が自然保護等の観点から魚族の保護増殖のためにさまざまな魚を選定検討し、大型に成長し、釣って楽しく、食べておいしいブラックバスを選定したという。他の淡水水系と絶縁され、ブラックバスがいくら繁殖しても移行しないということから、初めは芦ノ湖に放流された。また、水産方面にも副業的に利益があると考えた。当時の皇太子殿下(平成天皇)は魚類学に造詣が深く、ブラックバスについても興味を持たれたようだ。当時は芦ノ湖に限定しようとした経緯はあったが、管理と規則の整備が進まず、結果的に全国各地へとブラックバスは広がっていったのだ。
全国内水面漁業協同組合連合会に対してブラックバスの漁業権魚種への影響を1999年調査した。アンケートにて90%がブラックバスの影響を受けていると回答し、フナをはじめアユなどの魚介類の減少は明白で、漁業資源に甚大な被害を及ばしていると分かった。
他にも以下のような生態系への影響が報告されている。
- 環境省により選定された「日本の重要湿地500」に取り上げられた水域のなかで気候条件や塩分条件などにより定着の可能性が想定される259箇所のうち、少なくとも69箇所(27%)に侵入している。
- 京都府深泥池ではオオクチバス等の侵入後に在来魚の種数が減少したり、個体数が激減したりしている。また、在来種の減少により生物相に変化が生じている。
- 宮城県鹿島台のため池では、オオクチバスが侵入したあとに、絶滅危惧種のシナイモツゴが確認できなくなっている。また、秋田県の一部のため池ではオオクチバスが個体数や重量で優占し、いくつかの在来魚種の生息が確認できなくなっている。
- ラムサール条約登録湿地の宮城県伊豆沼・内沼では、オオクチバスの侵入・定着後に、希少なゼニタナゴやメダカ、ジュズカケハゼが急減し、いくつかの魚種では全長分布が大型個体に偏るなど、著しい魚類群集構造の変化が確認されている。捕食によるトンボ類への影響も懸念されている。また近年では、その強い捕食圧により生物群集が様々な間接的な影響を受けている可能性も指摘されている。
現在は、他魚種との餌争いや水温の変化、水位変動等で減少傾向を見せる河川もあるが、ブラックバスの影響をなくすのは非常に難しい。
ブラックバスは特定外来種に指定され、飼育、栽培、保管、運搬、販売、譲渡、輸入、野外に放つことが禁止されている。しかし、実情は釣り人によるリリースで、捕獲されても駆除に至らない。四万十川の漁協では駆除対象として買取を行っているが、持ち込みはほとんどないという。
はじまりは魚類保護であり、今も非常に人気が高く人を惹き付けて離さないバス釣りであるが、人の視点が先行し現在の生態系を破壊していることも忘れてはいけない。
≪参考資料≫
・川の生物図典 財団法人リバーフロント整備センター・土佐の魚のすべて 高知新聞社
・四万十川の魚図鑑 いかだ社
・ブラックバス移植史 金子陽春
・平成11年度四万十川流域ブラックバス調査事業 株式会社西日本科学技術研究所
・tsuri hack