(1)四万十川産スジアオノリが不漁となる原因究明の取り組み
四万十市農林水産課 辻祐人さん
平成19年6月から始まった本連携事業によるデータの積み重ねから、ここ近年に見られるスジアオノリ不漁の最大の要因は芽生え時の高水温である、と結論づけておいででした。サマリーは以下の通り。
・四万十川の青海苔収量は80年代90年代は10トンから20トン、2005年以降1トンにも満たない年もあり、深刻な不漁状況
・原因究明のために以下3つの取り組み 1)環境調査
水温・栄養塩・塩分を測定、結果一番相関が取れるのは芽生え時の水温
2)豊漁・不漁のパターンを掴むため、スジアオノリの生育状況を実施。結果、アオノリが早熟(長くなる前に胞子を放出してしまうこと 辻さんはこの表現をつかっていませんが、説明が長くなるので神田が勝手にはめ込みました)だと不漁に繋がることがわかった。この早熟を引き起こすのが20度以上の高水温であることは先行研究でわかっている。
3)上記1)で水温が最大要因と仮定したが、他の要素も完全には否定できない。それをはっきりさせるため、水温低下後に芽生えを投入する河川での生育試験をした。結果、天然モノが不漁にもかかわらず生育状況は良好であった。その他検討していない諸々の諸要因については未検討ながら、やはり芽生え時期の水温が不漁に関わる最大の要因だと結論づけたい。
(2)自然栽培事業の中間報告 高知大学 平岡雅規 先生
平岡先生からは、辻さんの研究の成果を受けて、2016年から通り組んでいるアオノリの自然栽培事業について報告がありました。2016年度は栽培自体はうまくいったものの、カモによる食害、その後のシオミドロの大発生によりほぼ収穫なしに終わった。2017年度は50キロの収穫を見たが、品質に問題があり、安値で取引された。とのことでした。これに対して、下流漁協の沖さんから、昨年度の反省に基づき、下流漁協として四万十川産のアオノリの規格を設け、生産過程マニュアルの作成をし、品質向上を図ることにしているという補足説明がありました。
今年はすでに水温が17度くらいに下がっていて、天然アオノリも期待できそうです。自然栽培の成功と合わせて、期待したいと思います。