四万十川自然再生協議会総会@四万十市防災センターに出席してきました。私たち四万十川財団は、流域のいろいろな団体と協力しながら事業を進めていますが、四万十川自然再生協議会もその一つ。この会では事務局長神田が幹事を務めています。
総会に先立って、記念公演として高知大学の比嘉基紀先生の「日本の土地利用の変遷と生物多様性・その保全」をお聞きしました。
☆本メモの表現等は比嘉先生のご講演を基に事務局長神田がまとめたものであり、先生のお話そのものではありませんので、その旨ご了承ください。
要旨はおおよそ以下の通り
話の前提として、環境が生物・生態系に及ぼす作用に対する反作用には大きなタイムラグがあることが多く、ぱっと見では因果関係が見えにくい場合もあることに留意する必要がある。
日本は戦国時代から江戸時代前期に急激な人口増があって、それに伴う燃料、資源調達のためにハゲ山だらけになった歴史がある。かつてはムラの周辺には里山が広がり、自然と人間が調和した暮らしをしていたというのは一面的な見方だ。山から木がなくなると土砂が流出し川は天上川化、海岸部では砂浜・砂丘のの拡大が起きた。現代は化石エネルギーの使用により山に木が戻ったが、その一方でかつて一般的に見られたカタクリやリンドウといった野草類は二次的環境に適合していたものが多く、調査してみるとそれらは減少傾向にある。河原の植生も、ダムにより土砂の流出が抑えられるようになって河床の固化、複断面化や樹林化により生息地を奪われている。
歴史を振り返ればわかるように、いつの時代でも環境は人間の活動に影響を受けている。現在、生物多様性の重要性が叫ばれ、その保全が急務であるが、歴史的背景を踏まえた上で環境の変動、変化を考えていく必要がある。
以下、先生のスライドに沿って内容を報告するとともに若干の考察を加えます。長くなるので4回程度に分けてアップします。