「源流域の山村」津野町
196kmの四万十川は、津野町不入山東斜面にその源を発する。豊かな自然が残る源流域の津野町は、そのほとんどが山地で、耕地面積は総面積の2%程度だ。この地形的制約から、それぞれの河川の河岸から上部の山林までの傾斜地に住宅や耕作地が配置され、山の斜面に石垣を築いて造成した畑では、かつては芋・麦などが栽培され、現在では茶畑となって、山間地独特の景観を作り上げている。
また、人と川との生活は治水の歴史でもある。比較的広い平地の芳生野地区には、水の確保を目的とした“サイフォン式水路”をともなう用水路が整備され、大古味地区では北川川の両岸にワイヤーロープを渡した一人乗りの“ゴンドラ”が現役で活躍する。
口目ヶ市集落では、近世期建築の茅葺寄せ棟造り民家が数棟残され、近年の車道を除けば歴史的集落の地割りや集落構成を残し、景観構成要素の古民家も多く残存する。
津野町の文化的景観は、源流域の限られた中で効率的に土地を利用して、石垣や水利施設によって維持してきた里地・里山、山間での渡河や交易の歴史を物語るものと言える。
津野町URL:http://www.town.kochi-tsuno.lg.jp/